丸太はつり機仕上げ

「岩室の平屋」根曲がり丸太から太鼓状に加工した棟梁。大工さんと加工方法について打合せをして、決定した「丸太はつり仕上げ」。(「斫り=はつり」とは、ノミなどで表面を削り取ることを言います。)現場に組み込まれた梁材と、初めて対面しました。

太鼓状に挽いてもらった梁の側面は、帯鋸(おびのこ=バンドソー)の目が残るよう、敢えて仕上げはせず、加工したままの、荒々しさを残しました。根の部分が曲がった梁材は、存在感が強く、上品に仕上げてしまっては、その木の存在感とちぐはぐになってしまいます。杉皮のついていた丸太表面は、その曲がりなりに丸太はつり機で表面を削り落としてもらいました。丸太はつり機で仕上げた表面は、小さなノミで斫ったような、独特の表情をしています。

太い部分で梁成約70センチ。端正な空間の中に、まるで壁から梁材が生えているような、とても面白い表現になりました。

ちなみに、隣に並んだもう一本の梁は、「手斧(ちょうな)」で仕上げてもらいました(↓下の写真参照)。機械で仕上げた表情とは異なり、一か所一か所が深く削り取られ、ファイヤーパターンのようなメラメラとした杢目が表れています。ちょうなの向きを変えることで、削り取られる向きが変わり、浮き出す杢目が変わってくるようです。木目金という鎚起銅器の技法がありますが、そう!まさに木目、と改めて納得してしまいました。

数年前にも、仕上げにちょうな仕上げを採用した事があるのですが、ここ数年で、手斧(ちょうな)を使える大工さんは、大分減ってしまいました。このような面白い表現が、いつかできなくなってしまうと思うと、寂しさを感じます。