カテゴリー: 2014 新潟浦山のコートハウス

「新潟浦山のコートハウス」自然素材の風合い

「新潟浦山のコートハウス」に、おじゃましてきました。つい先日、引き渡しをしたと思っていたのですが、気がつけばもう一年になるのですね。時が経つ早さに驚いてしまいます。設計という仕事は、最初の相談から竣工まで早くて1年、長い時には数年掛かるものですので、一つのプロジェクトに関わっていると、あっという間に1年が過ぎているなんてことがよくあります。設計業界は、(いや、私の場合だけかもしれませんが)時間の流れが遅いのです。

それだけに、その瞬間、その時代のトレンドだけに乗った消費期限が短い空間でなく、何年経って訪れてもブレない、時代に流されない本質的な空間を作っていきたいと、いつも思っています。

「新潟浦山のコートハウス」では、時間と共に素材が風合いを増してくるよう、外装、内装ともに自然素材を多用しています。当初の茶色味がかった木の表面は灰色へと変化し、ぴかぴかだった外壁も適度に落ち着いた色目に。時を経て、以前よりも風格が増したように感じました。次に訪れる時には、また違った表情へと空間が変化していることでしょう。また次回を楽しみにしています。

自然素材 自然素材 自然素材

「新潟浦山のコートハウス」竣工写真の撮影に行ってきました

「新潟浦山のコートハウス」お施主さんから庭の樹々が色づいてきました、との連絡を受け、さっそく竣工写真の撮影に伺ってきました。今回、撮影をお願いしたのは、新潟で活躍するフォトグラファー村井勇さん。今まで何度か雑誌の取材でお世話になっていましたが、正式に撮影依頼するのは初めて。村井さんは現地につくなり室内への光の入り方を確認し、素早くカメラを据え、家の中をあっちへこっちへ移動を繰り返しては、シャッターを切っていきます。真剣にファインダーを覗く姿は真剣そのもの。やはり素人の私が撮るのとは違います。

庭の樹々が色づき、先日伺った時とはまた庭の印象が異なります。季節の変化を感じながら過ごせるというのがコートハウスの一つの利点です。また太陽の光が、動かない建築に動きを与え、午前の光でみる室内の雰囲気、午後の光でみる室内の雰囲気、日が落ちてからみる室内の雰囲気、全く異なる表情を見せてくれます。四季の変化、時間の変化、天気の変化。様々な要素が建築に異なる表情を与えてくれます。一年を通して一度たりとも同じ場面に出会うということはありません。変化というものは面白いものです。

自分にとって、他の人が撮る写真というものは、建築の見え方を新たに自分に教えてくれるモノだと思っています。写真というフレームで切り取られた風景は、自分の見ている風景とは、全く異なって見えます。その写真をみて、なるほどこの空間はこんな風に見えるのかと、改めて気がつくことが多いのです。どんな写真に仕上がってくるか、とても楽しみです。竣工写真はできあがり次第、HPへアップしますので少々お待ちください。

村井勇 浦山のコートハウス竣工写真撮影 浦山のコートハウス竣工写真撮影 浦山のコートハウス竣工写真撮影

「新潟浦山のコートハウス」雑誌ハウジングこまち12/25号に掲載されます

「新潟浦山のコートハウス」が雑誌「ハウジングこまち12/25号」の特集ページに掲載されることになりました。お施主さんに協力いただき、庭の緑が美しく見える季節に、編集部の撮影取材に同行してきました。

撮影当日は、秋晴れの天気。コートハウス(中庭)平面を採用しているため、外観からは庭の存在が見えないようになっています。アプローチを抜け、玄関からリビングへ入り、障子戸を開けると!眼の前に中庭が現れます。

編集者とカメラマンは、声を揃えて「ほーーーっ!」と、とても良い反応。中庭を中心に、ダイニングから、リビングから、キッチンからと「このカットもいいなあ」、「あ、この光の入り方も良いなあ」と、予定していた以上に撮影カット数が増えていきます。大幅にカット数が増え、全て撮影を終えたのは夕方。編集サイドも必要以上に力が入っていたようで、どのように紙面がまとまるか、とても楽しみです。

こちらの建物は住宅ゆえ、当然、中庭を見ることができるのは、この家を訪れた方限定です。が、紙面では惜しげも無く、内部が公開されています。こちらの雑誌は、新潟県内だけの販売となりますが、もし書店などで見かけた方はぜひ手に取って、ご覧ください。お施主さん、撮影協力ありがとうございました。

ハウジングこまち取材 ハウジングこまち取材 ハウジングこまち取材 ハウジングこまち取材

「新潟浦山のコートハウス」庭はどちら向きに置くのが良いのか

家の配置を考える際、通常であれば家を北側に配置し、南側に庭を設けるというのが一般的かと思います。こう配置することで、南側隣地からの引きが取れ、家の中に太陽の光を取り入れやすくなるという利点ああります。しかし新潟浦山のコートハウスでは、その一般的なルールに反して、庭を北側に配置しています。なぜでしょう。

家が建つ前に敷地を確認すると、南側隣地の住宅が敷地ぎりぎりまで建ち、しかも隣地の方が地盤レベルが高いために、敷地の大半が影で覆われていました。このような条件で、北側に建物を寄せて南庭を取れば、確かに室内へは光は差し込むでしょうが、その代わり、全く光の当たらない南庭が出来てしまいます。こちらの家にお住まいになる施主さんは、家を持つなら絶対に庭を作りたいというのが要望でした。いくら庭があるといっても、日の当たらない庭であれば作っても意味がありません。そこで今回は一般解を外れ、庭を北側に配置することにしました。

本来、草花や木というものは、太陽の向きを向けて葉を広げ、花を咲かせます。ということは、南に庭を設けた場合、室内からは樹々を裏側から見ることになってしまいます。逆に、北庭の場合、南側に配置した室内から樹々の正面が見えることになります。つまり本来、庭木を見る為の正しい配置は北側ということになります。古来からある寺社や町家の庭を見れば、確かに北庭配置が多いということに気がつきます。

少し暗い室内から陽の当たる庭の緑を見ると、窓枠によって庭の風景がフレーミングされ、庭の美しさがより一層引き立って見えます。古来からの続いてきた庭の配置には、ちゃんとした理由があるのです。ただ今回、北側の庭だけでは室内への採光に少し不足を感じましたので、南西側にももう一つ庭を配置しています。北の庭は庭を眺めるため、南西の庭は採光を取るため。庭の機能をきちんと使い分け、配置計画を行っています。北側には美しい庭の緑の見え、南側からは明るい日差しが室内に差し込む。南側に庭を設けるだけが常に正解という訳ではありません、その敷地の条件を考慮しつつ、自由な発想を持って考えることが大切です。

北庭配置 北庭配置 北庭配置北庭配置

「新潟浦山のコートハウス」苔庭が完成しました

新潟浦山のコートハウス。引っ越しをされてしばらく後に「庭の植栽が終わりました」と施主さんから連絡をいただきました。こちらの住宅、実は引き渡し時点ではコートハウスといいながら、まだ庭が完成していませんでした。コートハウスというだけあって、庭の緑が揃わないうちはまだ完成とは言えません。早速、庭が完成し、どのような雰囲気の住まいになったのか拝見してきました。

玄関からリビングに入り、障子戸を開け放ちます。規則正しく並んだ踏石、少し赤みがかった丸い自然石、廻りには深緑の苔。眼前に広がる抽象画のようなモダンな中庭に、ただただ言葉を失いました。外からは想像もできない、濃密な世界。庭というよりも小宇宙と言った方がしっくりくるかもしれません。

取り囲むように配置した室内空間のどこからでも、この中庭を望むことができます。庭の緑を見ていると次第に境界が曖昧になり、内と外が溶け合っていきます。室内にいながら、まるで外にいるような感覚。陽の光は時間とともに角度を変え、庭から室内へと差し込み、動かない建築に動きを与えています。中庭と建築空間が相乗効果を起こすことで初めて生まれる空間。そんな希有な場がそこにありました。

こちらの庭の作庭をしてくれたのは、新潟の「越後苔匠」さんです。こちらのコートハウスには中央のメインの庭を含めて3つの趣の異なる中庭があります。どの庭も個性的な庭に仕上がっていて見る人を飽きさせません。

コートハウス植栽 コートハウス植栽 015 コートハウス植栽

「新潟浦山のコートハウス」猫の脱走防止のために

新潟浦山のコートハウス。こちらの家では2匹の猫ちゃんを飼っています。猫を飼っている方は分かるかと思いますが、猫は脱走名人です。部屋の中に風を通そうと窓を開ければ、ちょっとした隙にするっと外へ飛び出していってしまいます。今回、施主さんから求められたのは、猫が外へ脱走しないような仕掛けをして欲しいということ、と同時に、和の空間のイメージを壊さないようにして欲しいということでした。相反するものを同時に満たして欲しいという。。。まさに設計者の腕が試される難題です。

その突破口は、施主さんと話をしている中から生まれてきました。網戸さえ猫の突進で突き破られてしまいかねない。(実際、今までの住まいの網戸は破られてしまったそうです)網戸の形状を工夫することで脱走防止効果をもらせられないか。和の空間にも合う様に。そこで生まれてきたのが写真のような縦格子網戸です。がっちりとした格子があることで、猫ちゃんの突進にも耐えられますし、鍵をかけておけば脱出を防止しながら風を通すことができます。

「猫の脱出防止のため」と聞かなければ、気がつかないくらい和の雰囲気に合っているのではないでしょうか。障子戸との取り合いも良く、違和感なく納まっています。また室内に差し込む格子の影はとても特徴的で空間に変化を与えてくれます。

猫脱出防止戸 猫脱出防止戸 猫脱出防止戸 猫脱出防止戸

「新潟浦山のコートハウス」障子戸に落ちる樹々の影

新潟浦山のコートハウス。こちらの住宅、中庭に面した開口部には全て引き込み障子戸を取付けてあります。この障子戸、光を遮り、視線を遮り、外気温を遮るなど、様々な効果を期待して設けられています。障子戸を閉めれば、夏の日差しが強い時には光を柔らかく拡散し、夜には隣からの視線を遮り、冬の寒い季節には2重サッシのように断熱効果を上げることができます。昔から使われてきた障子戸ですが、改めて見直せば今の生活にも十分通用する効果が期待できると感じます。

また私の事務所では、障子の張り替えが面倒、破れたらみすぼらしい、という方には塩化ビニル製のホームワーロンという強化障子紙をオススメしています。こちらの新潟浦山のコートハウスでは猫を飼っていますので、通常の障子紙では直ぐに爪で穴を空けられてしまいます。そこで、こちらの強化障子紙を採用してみました。猫の爪は鋭いので、もしかして、と少し心配していましたが、今のところ猫たちに破られることなく、障子戸は無事にその姿を保っています。また見た目も言われなければ、それが塩化ビニル製だと分かる人は少ないほど、自然な質感でできあがっています。

障子の利点として様々な効果があるのですが、私はその中でも一番素晴らしいと思うのは、樹々の影が映ることだと思います。風が吹けば影が揺れ、太陽に雲が掛かれば影が薄くなり、障子戸を開けているよりも閉めていた方が、外の環境変化を敏感に感じることができます。見えているよりも、見えていない方が感じることができる。人間の感覚というものは本当に面白いなあと思います。

障子戸に落ちる影 障子戸に落ちる影 障子戸に落ちる影

「新潟浦山のコートハウス」ロフトスペースの使い方

新潟浦山のコートハウス。こちらの建物、一部スキップフロアを採用しているので、場所によって建物の高さが1.5階分あります。そこで、寝室や収納などの天井高の低い部屋の上にロフトスペースを設けることにしました。ロフトスペースとする使う場合、天井高さが1.4m未満であれば床面積に算入されない等、法的に様々なメリットがあります。

1.4mの天井高さ。移動する際には、ちょっとかがみ込む必要がありますが、床に座って使う分には全く問題ありません。逆にちょっと籠ることのできる穴倉のような空間になって落ち着きがあります。そこをただの収納スペースとして使うのはもったいありません。で、今回はカウンターを設け、床を掘り込み、ワークスペースとして使えるような設えとしました。カウンターでPC作業をするのも良し、子どもたちが宿題するのも良し、ただごろんと床に横になって本を読むのも良し、昼寝するも良し(他のスペースからの視線が隠れるようになっているので)、と様々な使い方が出来そうです。

普段は壁に引っ掛けてある梯子を使ってロフトへ登ります。まるで秘密基地のようです。子どもの頃、こんな空間に憧れませんでしたか?高いロフトの窓から見下ろす室内風景。ちょっと変わった視点から見える暮らしというのも面白いものです。

ロフトスペース ロフトスペース ロフト梯子

「新潟浦山のコートハウス」ブックマッチのフローリング

「ブックマッチ」という言葉、皆さんは聞いたことがあるでしょうか?建築や家具業界で、もともと1枚の板材を2枚にスライスし、両側に開いた状態の木のことを云います。左右に開いて置いた本のようであることからこのような名称がついています。もとは一枚の板であることから、左右対称に木目や節が現れてきます。元々は同じ木から取った材料であっても、製材段階や流通段階の管理を行なうことが難しく、途中でばらばらになってしまい、なかなか手に入りにくい材料となっています。手に入りにくい、つまり、高価な材料になってしまうので、テーブルの天板や家具の面材など、ちょっとした目につく所やポイントになる所にブックマッチ材を使うというのが一般的な使い方になります。

新潟浦山のコートハウスの床に使ったハードメープルの無垢フローリング材。その中で一カ所、なんとブックマッチとなっている箇所がありました。お世辞にも細かく流通管理されている訳でないフローリング材の中に元々同じ丸太から取れた材が入っているということも偶然ですが、それを張る段階で見つけて並べて張った大工さんの審美眼にも驚きます。こちらにお住まいのお施主さん、木が好きな方ですので、もしかしたらこういう偶然を引き寄せたのかもしれません。これと同じ様に床を張って欲しいとお願いされても、再び狙ってできることではありませんので(念のため)。ブックマッチのフローリング、とても珍しいので記念に写真に残してみました。

ブックマッチのフローリング ブックマッチのフローリング

新潟浦山のコートハウス 黒柿の新たな使い方

先日の打合せで決まった黒柿の無垢材抽き出し。加工を終え、抽き出し面材となって現場に搬入されました。板で見ていた時は、存在感が強く、もっと主張するのかと思いきや、家具として組み込まれると、独特の存在感を放ちながら、主張しすぎることなく、しっくりとその空間に馴染んでいるようでした。銘木と呼ばれる黒柿を、敢えて高級な設えでなく、ざっくりと使う。そんな使い方が今回、とても上手くいっているように思いました。製作した家具屋さんは、設置を終えた後、しばらく満足げに家具を眺めていました。

黒柿家具 黒柿家具 黒柿家具

新潟浦山のコートハウス 欅(けやき)洗面カウンター完成

施主さんが自ら選んだ無垢の欅(けやき)板。加工を終えて現場へと据え付けられました。やや赤みの強い欅に黒の洗面器を合わせています。空間の所々に存在感のある無垢材を取り入れることで、日常生活にメリハリが生まれてくるのではないでしょうか。また今回、カウンターが際立つ様、その他の部分を真っ白に仕上げてみました。無垢材が白い空間を引き立たせ、また、白い空間が無垢材を引き立たせる。そんな関係が生まれているようでした。

けやきカウンター けやきカウンター

新潟浦山のコートハウス 足裏感覚をデザインする

新潟浦山のコートハウス、大工工事はほぼ片付き、床を養生(保護)していた板が外されました。一旦床に貼ったフローリングは工事の途中で傷がつかないよう工事の最後まで保護材で隠してしまいます。今まで雑然としていていた現場が、床材が取れた途端に生活空間へとがらっと変化しました。今回、リビングダイニングの床に選んだのはハードメープルの無垢材。ハードというだけあってランダムな表情が印象的です。個室部分の床には、杉の無垢材を選びました。パブリックな空間にはやや硬めの床材、プライベートな空間には柔らかな床材。床の硬さで空間の質を変えるということを試みています。日本人は脚の裏の感覚が鋭いと言われます。硬い床を踏めば気持ちが引き締まり、柔らかい床を踏めば気持ちが緩むのではないか。そんな風に考え床材を選びました。形ではなく、感覚をデザインすること。最近はそのようなことを考えながら、設計をしています。

足裏感覚 足裏感覚 足裏感覚