カテゴリー: 2016 立川の3世帯住宅

「立川の3世帯住宅」外壁色が与える心理的影響について

「立川の3世帯住宅」外部足場が外れ、外壁が姿を現しました。今回、外壁に選んだのは、濃灰色のラフな質感の吹付け材です。外観だけ見ると、開口部も少なく、重厚で閉鎖的な印象を受けるかもしれません。(外観の印象とは相反して、室内には明るく開放的な空間が広がっているというのは、言うまでもありませんが。)

密集した都市部では、どうしても敷地一杯に建物を建てざるを得ません。そのため、道路ぎわ一杯まで建物が迫り、どうしても外部空間(前面道路)と内部空間(室内空間)の距離が近づいてしまいます。つまり、プライベートな空間が、パブリックな空間と壁一枚で接してくるという状態が生まれてしまいます。

この濃灰色は、心理的に少しでもその距離感を離したい、ということから選択されました。壁の色が白くても、黒くても、実質的な距離や遮音性能(つまり、数値)は変わりません。ただ数字は同じでも、心理的な距離感は大きく変わってきます。何故だか人間というのは、濃い色の方が距離感を感じてしまうのです。黒く重厚な外壁。その色と質感だけも、室内にいる人は、大きな安心感を感じることでしょう。

外壁の色一つだけでも、室内の居心地に大きく影響を与えてしまいます。色や質感。ちょっとした事ですが、空間の雰囲気を変えてしまう大事な要素です。ただのぱっと見の造形的な印象だけでなく、人の心に及ぼす心理的影響を考慮しつつ、選択することに気をつけています。

濃灰色の外壁 濃灰の外壁 濃灰色の外壁

「立川の3世帯住宅」造作家具工事

「立川の3世帯住宅」大工工事も、いよいよ最終段階に入ってきました。現在、各部屋の棚板やカウンターなどの造作工事が進んでいます。ちょっとした所に棚板やカウンターがあると、とても便利ですよね。まさにかゆい所に手が届くといいますか。

入居した後に気に入った家具を購入して設置するのも良いのですが、ちょうど良い寸法のものがなかったり、事前にコンセントなどの電気配線計画をしたおいた方がよかったり、強度上、工事途中で取り付けをしておいた方が良かったり、といった場合には、こまごまとした造作工事を大工さんに造作工事として現場で製作してもらいます。

寝室内のデスクカウンターや個室の本棚、リビングのテレビボードなど。別で家具を購入するとなると、建設費とは更に購入予算が掛かってしまいますし、それならいっそ、大工さんにお願いして作ってもらった方が、寸法もぴったり、自分の欲しい所に適切に、かつ割安で手に入れられます。

ただ、ここでのポイントは、大工工事で製作できる範囲で、ということ。大工さんでは製作できない複雑な形状・納まりのものは、家具工事となり特注家具製作となって高額ですので、注意が必要。あくまでシンプルな作りのものに限ります。設計段階で、どのような形状であれば家具工事でなく大工さんの技術で製作が可能か、などを踏まえながら、図面を製作しているのです。

造作家具工事 造作家具工事 造作家具工事

「立川の3世帯住宅」室内への光の取り入れ方

「立川の3世帯住宅」内装工事が着々と進行中です。こちらの家は、南側で道路に接しているため、光を取り込もうと単純に南側に窓を設けると、前面道路から室内が丸見えになってしまします。いくら室内が明るいといっても、外から丸見えでは落ち着きませんよね。「立川の3世帯住宅」では、様々な工夫を加えながら、外からの光を取り込んでいます。

1階には吹き抜けを設け、吹き抜けの上部に高窓(ハイサイドライト)を設け、そこから光を取り入れています。上部から差し込む光は、壁に反射しながら下へと落ち、柔らかく室内を照らします。高い位置に設けた窓ですので、前面道路からの視線が気になりません。

2階には、隣家からの視線を遮る壁をぐるりと回したプライベートな中庭(プライベートコート)を設け、その中庭から光を取り込んでいます。斜め方向からシャープに差し込む光は、かちっとした硬質な照度で室内を照らします。

上から、斜めから、下から、反射させて、直接に、などなど光の取り入れ方一つで、空間の雰囲気が変わることが分かるかと思います。まったく同じ間取りでも、光の取り入れ方一つで、だいぶ異なる印象の空間が出来上がります。しかも太陽の光というのは、時間と共に、季節と共に、刻々と角度や強さを変えていきます。太陽の光は、変化しない建築空間に、変化を与える重要な要素です。積極的に取り入れることで、多様な場が出現します。

立川の3世帯住宅 立川の3世帯住宅 立川の3世帯住宅 立川の3世帯住宅

「立川の3世帯住宅」仕上材の選び方

「立川の3世帯住宅」内装仕上げ材の選定を行なっています。「えっ?仕上材って設計の時点で決まっているんじゃないの?」と、お思いになるかもしれませんが、仕上げに使う材料自体は設計図面で指定してあるものの、その色やテクスチャー(柄)は、(私の事務所では)現場確認してから最終決定するようにしています。

実際に建ち上がってきた空間が、イメージしていたよりも暗い、または、明るい。思っていたよりも開放感を感じる、または、閉鎖感を感じる。また他の仕上材の影響を受け、空間の感じ方が変化します。多少なりともイメージと現実の間には、ブレが生じます。そのブレを調整する為、最終的な仕上材の決定を現場まで持ち越すようにしているのです。

空間がイメージよりも暗ければ、明るく反射率の高い仕上材を選ぶ、少し圧迫感を感じるようであれば柄が細かく平坦なものを、広がりのある空間であれば大柄テクスチャーで落ち着いたトーンのモノを、といったように。料理に例えれば、基本は設計図をいうレシピ通りにつくるものの、最終的な味の調整は、その素材の鮮度やその日の気温や気候、自分の体調などにより、少しアレンジを加えるように。

仕上材の選び方 仕上材の選び方

「立川の3世帯住宅」作り手の立場と暮らす人の立場

「立川の3世帯住宅」現在、大工工事の真っ最中。設計者は図面を描けば仕事が終わり、という訳にはいきません。現場に何度も脚を運んで、大工さんや設備屋さん、電気屋さん等、多くの職人さんと図面で表現しきれていない部分や、工事の進行に伴って現れてくる様々な取り合いなど、打合せして決めていく必要があります。

下地材の留め付け方法から、仕上げの納まり、使う材料の仕様や配線位置、配管ルートなど、各工程毎に決定しなければいけない事項が多岐に渡りめくるめくように現れてきます。設計者が現場に行かなくとも、職人さんの意識が高ければ、ある程度の所まで建築の出来映えを整えることはできるのでしょうが、「こうしたい」という設計者の意図を現場に示すことで、出来上がってくる空間に差が生まれてくるような気がします。

何が違うのかというと、空間の強度が違なる気がします。随分、曖昧な表現ですが。。。職人さん達は作り手の立場から物事を決めていきます。当然、こちらの方が作りやすい、いつもこれでやっているからと。設計者は、クライアントの代弁者として、暮らす人の立場から物事を決めていく立場をとります。そんなちょっとした立場が異なる判断の積み重ねが、空間の強度、ひいては、暮らしやすさや空間の心地よさを変えていくのだと思います。

大工工事 大工工事 大工工事

「立川の3世帯住宅」床フローリング材の選び方

皆さんは床フローリング材を選ぶ際、何を基準に選んでいるでしょうか。色目だったり、節の有る無しだったり、値段だったりと、選ぶ基準は人それぞれだと思います。ただフローリング材と一言で言っても、種類は無数にあります。普通の人であれば、どれを選んでも良いと言われても、迷ってしまうだけでしょう。

「立川の3世帯住宅」では、フローリングの選定基準は、木の硬さと足触りでした。(お住まいになる方の好みを盛り込んでいるということは当然です。)リビングなどのお客さんの入るようなパブリックな場所には、しっかりした踏み心地の硬めのフローリングを。寝室や個室などのプライベートな場所には、足触りの温かい柔らかめのフローリング材を選びました。

日本人は脚裏の感覚が鋭いと言われています。床材の質感が変化することで、気持ちが引き締まったり、リラックスしたり。視覚ではなく触覚の変化によって人の心に変化を起こす。そんな風にフローリング材を選んでみるのはいかがでしょう。ただし、表面にウレタンコーティングを施したフローリング材には、質感の差はありません。これは無垢材での話ですので、ご注意ください。

フローリング材選び方 フローリング材選び方

「立川の3世帯住宅」壁下地工事

「立川の3世帯住宅」建て方から2週間。現場内では多くの大工さんが右へ左へ活躍中です。ちょうど外壁の下地合板が貼り終わった所で、室内の雰囲気が少し感じられるようになってきました。

様々な場所に設けた窓開口からは光が差し込み、室内を柔らかく照らしています。周り3方向を隣家に囲まれ、唯一引きの取れる南の道路側も対面にお向かいさんの窓が面しているため、単純にオープンすることが出来ませんでした。そこで、様々な向き、大きさ、高さに窓を配置することで、視線を遮りながら、光を取り入れる工夫をしました。

壁で囲われる安心感と、光と風が入り込む開放感。閉じて開く、または、閉じながら開く。相反する要素を同時に持った室内空間が実現しています。

立川壁下地工事 立川壁下地工事 立川壁下地工事 立川壁下地工事

「立川の3世帯住宅」上棟

「立川の3世帯住宅」無事に上棟しました。上棟とは、棟が上がること、つまり、一番上の梁まで組み上がることを指します。こちらの建物は、3世帯住宅と規模が大きいこともあって、一日では組み上がらず、数日掛けての建て方作業となりました。

柱梁部材は、既にプレカット工場で加工が済んでいるため、施工図面に従って、組み上げていくだけです。といっても部材数は、かなりの量。どこにどの材料が納まるのか、狭い現場内で探し出して順番に並べ、段取りを行なうだけでもかなり頭を使うことになります。それだけに、大工棟梁の腕の見せ所でもあります。

建て方の際、設計者は、ただぼーっと作業を見上げていれば良い訳ではありません。大工さんと一緒に、足場を登り、図面通りの部材が搬入されているか、配置される場所に間違いはないか、釘の間隔は合っているか、納まりに不具合はないか、などなど現場のあちこちを同時にチェックしていきます。

それと同時に、実際の現場を見ながら、図面では明確に指定できなかったことを拾い出し、現場調整していきます。例えば、、、、窓の位置が隣の家を向かい合わせになっていないか(その場合、窓の位置をずらしたり、ガラスの種類を変えたりします)、空間のスケールは適切か(スケールがおかしい時には天井高さの調整などを行ないます)、などなど現場で少し補正を加えていきます。

棟が上がる頃には、雨も上がり、陽が差してきました。建て方が済むと現場は、いよいよ活気づいてきます。上棟、おめでとうございます。大工さん達もお疲れさまでした。

tachikawa tachikawa tachikawa

「立川の3世帯住宅」金物工法

今回は、技術的な話を少し。「立川の3世帯住宅」では、柱と梁、梁と梁の接合部分に金物工法を採用しています。通常の木造では、柱や梁部材が取り合う部分を凹凸状に加工し、組み合わせることで接合をしています。この取り合う部分のことを建築用語で仕口(しぐち)と呼びます。

今回、通常の凹凸を組み合わせる仕口ではなく、金物工法を採用したのは、組み合わせ部分の耐力低下を考慮してのこと。凹凸状に加工するということは、柱(梁)を断面を切り欠くこととなり、その部分の耐力が低下してしまいます。金物工法の一番の利点は、金物を介して接合することで、構造部材の欠損を最小限に抑えられることです。

梁の欠損面積が減ることで梁の材料面積も減らすことができ、建設費を抑えることが可能になります。ただし、金物代金分が増えているので、通常工法よりは割高となりますが、構造耐力が増していることを考えれば、それを補って余りあるのではないとか思います。

施工側としては、施工の寸法精度の細かさや事前打合せの煩雑さから、金物工法はやや嫌われている感がありますが(笑)その煩雑な施工手間を惜しんででも、採用するメリットがあると判断し、今回採用に踏み切りました。少し手間取るかと思っていた建て方作業も、スムーズに進んでいます。

木造金物工法 木造金物工法 木造金物工法 木造金物工法

「立川の3世帯住宅」建て方工事

「立川の3世帯住宅」建て方工事が始まりました。基礎工事が終わった後、しばらく現場での工事は進んでいませんでしたが、実は水面下で工事は進んでいました。現在、木造の柱梁加工を現場で行なうことは滅多に無く、基本的にはプレカット工場と呼ばれる、加工工場内で先行で加工を行ない、加工の済んだ材料が現場に運ばれることが大半です。

先行で加工を行なうため、事前の加工図の検討や納まり検討が非常に重要となってきます。柱梁の組み方から防水納まり、仕上げ寸法等、この加工の段階で入念に検討を進めておかないと、現場が進んでから思っていたような仕上がりにならない、何て事が起こってしまいます。今回も大工さんや加工業者さんと入念に打合せを行ない、何度も図面のやり取りをし、念には念を入れて加工に望みました。その甲斐あって、現場ではここまで何も問題なく、スムーズに建て方作業が進んでいます。

写真をよく見ると分かりますが今回、柱の材料が場所毎で違っています。集成材であったり、杉材であったり。これは構造解析の結果に基づき、大きな軸力が掛かる部分には耐力の大きい材料、小さい所には耐力の小さい材料を選択しているためです。小さなことですが、適材適所で材料指定することでコスト調整を行なっているのです。

立川3世帯住宅建て方 立川3世帯住宅建て方 立川3世帯住宅建て方

「立川の3世帯住宅」いよいよ着工

「立川の3世帯住宅」設計図面の仕様見直しを行い、なんとか予定通りの工事金額に落ち着き、無事、工務店と工事契約を交わしました。いよいよ工事が着工します。

思い返せば、計画がスタートしたのが去年(2015年)の春頃。数えてみると、着工まで1年4ヶ月掛かったことになります。(一般的な家作りの期間としては、長く時間を掛けた方だと思います。)最初は着工時期を決めずに立て替え相談から始まったこともあり、スタディにある程度長い時間を掛けてきましたが、その期間、熟考してきたこともあり、着工時期が決まった今年の春からは一気に進んできたという感があります。時間的に余裕を持って計画を進めていくことで、施主さんもしっかりと自分の求める暮らし方を確認できたように思います。

工事期間は約6ヶ月。来年の春竣工予定です。既存建物の解体を行なった後のまっさらな敷地の上に青竹を立て、地鎮祭を執り行いました。神主さんの祝詞を聞き、いよいよ始まるなと、いっそう気が引き締まります。

地鎮祭 地鎮祭

「立川の3世帯住宅」見積もり査定中

「立川の3世帯住宅」完成した実施図面を工務店へ渡し、見積もりを依頼しました。図面がかなりの枚数になるので、見積もりにもそれなりに時間がかかります。場所毎で使用する建材や構造的な仕様を指定しているので、ひとつひとつメーカーへ見積もり依頼し、上がってきた見積書をまとめる必要があります。それだけでも相当な労力が掛かってきます。工務店の担当の方には頭が下がります。

図面を渡してから約3週間。見積書が届きました。流石、かなりの枚数の図面を渡しただけあって、見積書もそれなりのページ数になります。記入してある単価や数量に間違いは無いか、金額を落とせる所は無いか、など1ページ1ページ設計査定を行なっていきます。

1回目の見積もりで、予定金額内に納まればベストなのですが、なかなかそうはなりません。設計段階でクライアントもどんどん夢が膨らみ、ついついオーバースペックな建物になりがちなもの。見積もり金額が出た時点で、現実的に要望を整理していくことになります。必要なものと、必要でないもの。夢に対して優先順位をつけていくというのも心苦しいのですが。とはいえ、お金も大事。

設計者は、容赦なくクライアントの夢を切り捨てるのではなく、出来るだけコストを抑えつつ、夢を実現する方向を探っていきたいと(まるで自分の家のように)思ってしまうのです。ああでもない、こうでもないと、電卓をはじきながら頭を悩ませている最中です。

工事見積書 工事見積書0