カテゴリー: 2006 中野のコートハウス

中野のコートハウス 狭小地での足場組み

中野のコートハウス。基礎コンクリートが打ち終わり、後は建て方を待つだけです。が、その前に建て方をするために必要な足場を立てなければいけません。敷地境界ぎりぎりまで建物を寄せているため、足場を立てられる隙間は30センチ程度。当然、ユニット足場は組めませんので、単管足場をクランプで留め付け、組み上げていきます。
建物が立ちあがる前ですので、今はまだ良いのですが、建物が建った後はスペースが更に狭くなるため足場解体は困難を極めます。とび職人さんには申し訳ないのですが、敷地いっぱい有効に使うにはどこか無理をせざるをいけません。

狭小地足場立て 狭小地足場立て

「中野のコートハウス」柱頭金物の製作図

「中野のコートハウス」の柱頂部では、5本の梁が取り合ってきます。それもさまざまな角度から。木の加工で組めれば良いのですが、さすがに5本の梁ともなると、取り合いは複雑。しかも欠損が大きいと柱の強度も心配です。そこで今回、柱の頂部には、鉄骨のジョイント金物を取付けることにしました。

5本の梁は平面上、さまざまな角度から取り合ってくる上に、更に勾配が全て異なっています。金物の製作図は、かなり複雑。図面上での寸法と角度は合っているけれど、2次元の図面からは、出来上がりをイメージするのが困難。果たして上手く納まるだろうか。後は現場で出たとこ勝負です。

金物製作図 金物製作図

「中野のコートハウス」プレカット図チェック

「中野のコートハウス」現場では基礎工事が着々と進んでいますが、設計サイドは、次の工程へ向けて、プレカット図のチェックを行なっています。プレカット図というのは、柱梁の軸組み加工図のことです。プレ・カットとは、事前に工場で加工するという意味。現代の建築では、大工さんが現場で柱梁を加工することはなく、事前に工場で加工された材が現場へと搬入され、それを現場で組み立てるという流れで行なわれています。

設計図面には、既に柱梁の組み方が示されているのですが、それを実際に工場で加工するため、加工工場ではプレカット図というものを作図します。機械での加工を想定して作図されるため、設計図面通りにいかない部分も出てきます。再度、構造耐力や納まりなどを考慮しながら、プレカット図に赤ペンチェックを入れていきます。後で間違いに気がついても既に手遅れ。間違いないように何度も何度も見直していきます。

プレカット図 プレカット図

「中野のコートハウス」半地下部分掘削

「中野のコートハウス」地盤の掘削が始まりました。今回の建物は、隣地境界ぎりぎりまで建物を寄せています。そのために斜線制限が厳しくかかり、高さを高くすることができません。高さ制限が厳しい中で2階建て高さを確保するため、1階の床を一部掘り下げて半地下としています。隣地がぎりぎりまで迫っている中の掘り下げ作業。慎重に慎重に、進めていきます。

半地下部分掘削 半地下部分掘削

「中野のコートハウス」関東ローム層地盤の確認

「中野のコートハウス」地盤調査の結果からは地面下すぐに良い地耐力が出ているとのデータが得られていました。東京の西側では(海抜の高い地域に限られますが)関東ロームと呼ばれる良質な地層が確認できる場所が多々あります。

今回の建物は地盤改良を行わずに、関東ローム層に直接基礎を載せるという方針にしました。地盤改良を行わないことで建設コストを抑えることができます。ただし、調査データだけでは不安があったため、実際に掘削して地盤面を目視確認することにしました。

数十センチ掘ってみると、次第に茶褐色の土が現れてきました。関東ロームの特徴は茶褐色であることです。脚で踏み込み、しっかりとした土であることを確認。データだけで安易に判断するのではなく、実際に目で見て確認することが大切です。

地盤面確認 地盤面確認

「中野のコートハウス」いよいよ着工です

「中野のコートハウス」既存家屋の解体が終わり、いよいよ着工します。解体が終わって更地になってみると、隣家が敷地ぎりぎりまで迫っているのかよくわかります。隣の家の影が敷地内に落ち、そのまま単純に南に窓を設けただけでは室内に光を取り入れることができません。冬至に近い時期だけに最も不利な影が落ちていることもありますが。

更地になった地面の上に、ピンクの糸を張って建物の位置を示してあります。これを自縄張りといいます。道路境界ぎりぎりまで建物が迫ります。建物の位置を最終確認し、これを起点に基礎工事が始まります。

自縄張り 自縄張り

「中野のコートハウス」プレゼン模型作製

「中野のコートハウス」施主さんとの打合せも順調に進み、実施図面もだいぶ詳細まで詰まってきました。最終的な平面を確認するため、再度模型を作成しました。今回の模型は実施図面に基づいてできるだけ忠実に作っています。外壁の色なども実際と同じ色を貼り付けています。

模型でみると敷地いっぱいに建物が建っているのがよくわかります。屋根形状は中央の中庭に出来る限り光を取り込むため、漏斗状に中心に向かって傾斜しています。

外部から見ると窓の少ない閉鎖的な印象ですが、中庭側にはいくつもの大きな窓を配置しているため、内部空間は思った以上に開放的で明るく空間になってくるはずです。また、各部屋の窓から中庭を介して別の部屋が見えることで、建物のどこにいてもお互いの気配を感じながら暮らすことができるよう意図しました。

模型写真 模型写真 模型写真 模型写真

「中野のコートハウス」スタディ模型作製

敷地にはそれぞれ、建蔽率や容積率、斜線制限や採光条件などの法律上の制約が掛けられています。設計を始める際には、さまざまな法的な条件を整理し、まずその敷地に建てることのできるボリュームから検討を進めていきます。ボリュームの目安を掴んだ上で、施主さんの要望を平面と断面に落とし込んでいきます。

部屋の広さはもちろんのこと、部屋同士の繋がりや通風や明るさなど、色々な角度から検証を重ねていきます。また図面上での検討と同時にスタディ(検討)模型を作り、中を覗いて確認し、再び平面修正を繰り返していきます。

2方向を隣家に囲まれ、更に2方向を道路に面した敷地。隣家に面した方向からは採光が望めませんし、道路に面した方向にはプライバシーの観点から大きく窓を設けることができません。試行錯誤を重ねてたどり着いたのは、コートハウスという形式。敷地境界いっぱいに建物を建て、真ん中に穴をあけて中庭を配置し、その中庭から光を取り入れるという案。密集した市街地に建てる場合には有効な方法だと思います。

スタディ模型 スタディ模型 スタディ模型

「中野のコートハウス」現況調査

自宅の建て替えをしたいとの相談を受け、ヒアリングを兼ねて現地調査に伺いました。敷地環境は密集した市街地。南側と東側には敷地ぎりぎりまで隣家が建ち、北側と西側は道路に面しています。細い道路ながら高円寺駅への抜け道ということもあって、人通りが結構あります。

プライバシーを確保しながらも、開放的で明るい住環境を実現したいとの施主さんからの要望。プライバシーと開放性。相反する要求をどのように実現していくか。設計者として腕の見せ所。条件が厳しいければ厳しいほど、設計者魂に火がついてしまいます。要望と敷地条件を整理しながら、検討を進めていきます。

現況