カテゴリー: 2006 中野のコートハウス

「中野のコートハウス」コートハウスの利点とは

「中野のコートハウス」その名の通り、こちらは中央にコート(中庭)を設けた住宅です。敷地境界ぎりぎりまで隣家が迫る市街地においては、庭を外部に設けるのではなく、建物の内部に設け、プライベート化するという方法は有効な手段だと思います。採光を期待して折角、庭を設けたのに、お隣さんから室内が丸見えで、いつもカーテンを閉めているようでは全く意味がありません。外部からの視線を遮るように設けたプライベートなコート(中庭)であれば、人目の気にならない開放的な住空間を作り出すことができます。

今回の敷地は2方向に隣家が迫り、2方向で道路に面し、どの方向にも開放できない条件の敷地でした。以前もそこに家が建っていたのですが、家の周りに庭がありながら、いつもカーテンを閉めていて、暗い室内で過ごされていました。そこで、真ん中にコートを置き、そのコートを取り囲むようにぐるりと建物を配置する平面を採用しました。ただ、単純に真ん中にコートを置いただけでは、暗いコートになってしまいます。そこで、そのコートに光を落とすために様々な工夫を行なっています。中庭を通した光が室内に拡散し、一日を通して明るく室内を照らします。

人目を気にせず窓を開けられるというのが、コートハウスの一番の利点かと思いますが、もう一つの利点があります。それは窓の外、コートの向こうに自分の家が見えることです。つまり、全ての部屋がコートに面しているため、どの部屋からも他の部屋を見ることができるのです。ひとつ屋根の下、他の人の気配を適度に感じながら過ごすことが可能になります。ただ部屋に閉じこもって一人で過ごしたいという場合には、窓のカーテンを閉めれば良い訳です。キッチンで食事を作りながら窓の外を見れば、旦那さんが下階のアトリエで作業しているのが見えたり、というような。互いの気配を感じながら過ごす、昔ながらの暮らし方がコートハウスのもう一つの利点だと思います。

コートハウス コートハウス コートハウス

「中野のコートハウス」アトリエスペースの明るさについて

中野のコートハウスのギャラリー兼アトリエスペース。こちらの部屋へは玄関を通らず、全面道路に設けた掃き出し窓から直接アクセスすることができるようになっています。通りを歩く人が、アトリエでの制作する風景が覗いたり、窓際に展示した作品を手に取ってみたりと、様々な行為が生まれてくることを期待しています。(夜間には閉じることのできる引戸扉が外部に設けられています。)

ギャラリー(アトリエ)スペースに直接光を入れてしまうと、作品が痛んでしまう、キャンバス面が明る過ぎて絵が書きにくいなどの問題が起こってしまいます。かといって、出来る限り自然光で確認しながら作品を仕上げたいという要求もあるため、全く光を入れないということも出来ません。そこで、ギャラリー(アトリエ)スペースには北側上部に大きな窓を設けるという方法を取りました。北窓であれば直接光が差し込むこともありませんし、実は曇った日でも空の拡散光で安定した明るさを得られるという利点があります。

こちらの家のギャラリー(兼アトリエ)スペースは、半地下にあり、かつ、最も陽が入りにくい位置にあります。そこで中庭の外壁にバウンドさせ、外の明るさが柔らかく室内に差し込んでくるような計画しました。また室内の天井、壁、床とも白く塗ったことで、室内全体に光が回り込み、作品制作の場として程よい明るさを実現することができました。

アトリエの明るさ アトリエの明るさ アトリエの明るさ

中野のコートハウス ギャラリー壁ホワイト塗装

中野のコートハウス。こちらの家のお施主さんはご夫婦ともアーティストとして製作活動をされています。今まではギャラリーを借りて作品展をしていたのですが、今回、家をつくるに当たってぜひ自宅で作品展を行ないたいということになり、1階の製作アトリエをそのまま表の道路と引戸で直接繋ぎ、そこで作品展示が行なえるような平面としました。

作品は壁に直接ピンで留め付けるため、貸しギャラリーの壁と同じく、寒冷紗全面張りとした上で真っ白なペンキ塗りとしています。ピンで穴が空いても、パテ埋めしてペンキを塗れば元に戻るという仕掛け。後で再塗装する際は自分たちで壁を塗ることになるため、それならば自分たちで最初からペンキを塗ってみようということになりました。

施主さんと共に、朝から始めた作業は夕方には一段落。無事、真っ白なギャラリースペースが出来上がりました。ギャラリースペースの巾は内法で約1.6mしかないのですが、天井高さがあるためか、圧迫感を感じない気持ちのよい空間となっています。

ギャラリースペース ギャラリースペース ギャラリースペース

「中野のコートハウス」仕上材のコストバランス

「中野のコートハウス」の床仕上げ材は、ラワン合板です。えっ!?と思われる方もいるかと思いますが、そうです、あの下地に使われる合板、いわゆるベニア板なのです。

なぜそんな下地材を仕上げに使ったかというと、建設コストを抑えるためです。床に直接座る場所にはラグやマットを敷いて使うし、ソファやテーブルを置いてしまえば床は直接見えないし、別に床材が何であろうと構わないと、割り切って考えることにしました。その代わりそこで浮いた予算を中庭や床暖房、オール電化など必要な部分へと割り当てています。決して全てがローコストという訳ではなく、こだわってお金をかける所にはきちんとお金を掛ける。そのコストバランスが家をつくる際には大切になります。

ラワン合板床張り ラワン合板床張り ラワン合板床張り

中野のコートハウス 斜め平面の意図は。。。

中野のコートハウス、内装工事が大詰めです。電気、設備、家具、建具など多くの職人さん達が現場の中で作業を行っています。この時期が一番、現場に活気があります。この段階までくると、設計者は現場指示することも少なくなりますが、完成検査の準備や引き渡し事項の確認、細かな納まりの最終チェックなど、今までとは違った業務で忙しくなってきます。

こちらの建物、少し変形した台形の敷地形状に合わせてあるため、建物の平面も整形ではありません。両側の壁が平行ではなく、やや角度がついています。そのためか部屋の広さがちょっと不思議な感じ。トリックアートの様に部屋の奥にいくとその人の背が伸びたように感じるというような。3番目の写真を見ると、畳の納まる部分の脇に台形の形が現れているのが見えます。このような角度が平面の所々に現れています。更に勾配天井を採用することで、その効果を上げています。

今回の家は、床面積がとても小さな家です。部屋といっても巾4m弱しかありません。そのまま何も考えずに作ってしまえば、とても狭苦しい部屋になってしまう恐れがありました。壁に角度をつけ、天井に勾配をつけ、壁と天井を分節せずに真っ白く塗ったのは、少しでも空間が広く感じられるよう、意図して行なったものなのです。

平面
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中野のコートハウス 真っ黒と真っ白な外壁

中野のコートハウス。足場が解体され、全体の姿が現れました。道路側から見ると、真っ黒で重厚な雰囲気。窓の数も数える程しかなく、かなり閉鎖的に見えるかもしれません。外部と対照的に中庭側の外壁は真っ白にしました。こちらは出来る限り光を拡散させ、室内へ光を届けようといういう意図で外壁材を選びました。光を取り入れるため多くの窓がランダムに並んでいます。

外から見た時には閉鎖的に見えるけれど、一旦中に入ると開放的になる、という内外反転した作りとすることで、住宅空間に安心感が生まれるような気がします。

外部のガルバリウム鋼板の縦ハゼ張りをよく見ると、ハゼを手で締め込んだ部分がうねっているのが見えます。職人さんの手の跡が残っていることで、鋼板という工業製品でありながらも、どこか温かみのある表情となっています。

ガルバリウ縦ハゼ黒 ガルバリウ縦ハゼ黒 サイディング白

中野のコートハウス ホワイト塗装の効果

中野のコートハウス、内装の塗装工事が始まりました。今回は、壁・天井ともに真っ白く塗装します。白く塗られた内部空間には、光が拡散し、今まで以上に明るく感じるようになりました。また見切りも巾木もつけない納まりを採用したためか、更に空間が広がったような気もします。前回書いたように壁の角度が直角でないという視覚的な効果も働いているのでしょうか。勾配天井と相まって不思議なスケールの空間になっています。

ホワイト塗装 ホワイト塗装 ホワイト塗装

中野のコートハウス 内装下地工事

現在、内装下地工事が進行中です。具体的には、壁と天井に石膏ボードを貼付ける作業。2階の天井には、屋根勾配がそのまま内部空間として現れてきますので、斜め取り合い部分のボード加工にはちょっと手間がかかっています。
実はこの建物の平面、壁の交わる角度が直角ではないんです。所々で角度がつけてあり、目の錯覚で空間が広くみえたり、狭く見えたりするような仕掛けが盛り込んであります。ぱっと見ただけでは分からないのでしょうが、角の納まりをよく見てみると、分かります。これがどのような効果を生み出すのか、実際に作ってみなければ分かりません。初めての試みだけに、出来上がってくる空間が楽しみです。

壁下地 壁下地 壁下地

中野のコートハウス 回廊のような空間

外壁下地ボードの張り付け工事が進行中です。外壁が塞がれると少しづつ、内部の空間構成が見えてきます。中央に中庭を配置した平面は1階でロの字形、2階でコの字形となっています。部屋といっても各階とも、一筆書きのようにぐるっと繋がったワンルーム空間となっています。空間として繋がっていながらも、折れ曲がった先が見通すことができません。まるで回廊のように、奥へ奥へと移動するに従って視界が開ける、そんな構成になっています。

外壁下地工事 外壁下地工事

中野のコートハウス 光を取り込むための屋根形状

中野のコートハウスの現場へ。屋根には下地合板が貼られていました。中央の中庭に向かって勾配が下がっていく漏斗(ろうと)状の形状になっているのが分かるかと思います。このような勾配にしたのは太陽の光を出来る限り中庭へ取り込むため。設計で狙った通り、中庭を介して室内へ太陽の光が差し込んできています。南側ぎりぎりまで隣家が迫っているとは思えないほど明るい室内が実現できそうです。

屋根勾配 屋根勾配 屋根勾配

中野のコートハウス 柱頭納まり

中野のコートハウスの屋根梁。勾配のついた梁が柱の上に何本も集中して取り合ってきます。そのまま梁と柱を交差させたのでは、部材同士を切り欠いてしまい、断面欠損が非常に大きくなってしまいます。そこで今回、柱頭に鉄骨で製作した金物を取り付け、そこに梁を差し込むという方法を採用しました。複雑な角度で取り合ってくるため、上手く嵌まるか不安でしたが、現場では問題なく組み上げることができました。仕上がってしまえば隠れてしまう納まりですが、現場ではこのような様々な処理事項が次々と現れてきます。

柱頭金物 柱頭金物 柱頭金物

中野のコートハウス 棟上げ

中野のコートハウス、棟上げ工事が始まりました。前面道路にクレーンを据えて作業開始です。狭い敷地の中、順序良く部材を搬入していかなければ材料で足場が無くなってしまいます。加工図の番号を確認し、順番にクレーンで吊り上げ、組んでいきます。大工さんは梁の上を所狭しと駆け回っていきます。
夕方には屋根梁が組み上がり、無事に上棟しました。工事の後には施主さんの手料理で地鎮祭が行なわれました。手作りの料理でのもてなし。こんなアットホームな地鎮祭もよいですね。明日からまた工事が続いていきますが、最後までよろしくお願いします。

建て方 建て方 建て方 建て方