カテゴリー: 2009 岩室の家

「岩室の家」町並みに溶け込む建ち方

「岩室の家」の外観は、一見すると普通の家に見えるかもしれません。それくらい町並みに溶け込んで見えます。こちらの家の設計条件は「瓦屋根をのせること」でした。学生時代からモダニズム建築を学んできた私にとって、この設計条件は非常に悩ましいものでした。何も考えずに瓦屋根をのせれば、ただの昔ながらの民家になってしまいオリジナリティがないし。。。などとその時には頭を悩ませていました。その時はただ自己主張したいという思いだけが、先に立っていたのかもしれません。いわゆる、設計者のエゴです。若さもあったのでしょう。

頭を悩ませるうちに設計者のエゴを捨て、腰を据えて昔ながらの日本の建築、民家ときちんと向き会ってみようと考えるようになりました。昔ながらの普通に見える建物であっても、今まで現代建築を学んできた自分の感性を持って設計すれば、きっと異なるものになるのではないか、そんなことを考えて「岩室の家」を設計しました。玄人的な視点で建物の細部を見れば、屋根端部の繊細さや窓枠の納まりなど、現代的な感性が見てとれるはずです。

外観のプロポーションは、昔ながら行なわれてきたその地域の屋根勾配を踏襲して決めています。設計者が決めたのではなく、昔ながらのその土地環境が決めたといっても良いでしょう。そのため、周囲の家屋の屋根形状、勾配と全く同じに揃っています。町並に揃える。建物単体でなく、その町並み全体を見据えた上でデザインを決めていくこと。建築単体に固執することなく、一歩引き、更に大きな視点で見る。そうすることで町全体が調和し、美しさが増していくのだと思います。

街並を揃える 002 003

「岩室の家」6年目の杉板外壁の表情

岩室の家の外壁は杉板貼りです。鉋を掛けずに板加工したままの杉板を塗装せずに外壁に張り込みました。竣工当初は肌色に近い明るい杉の色目は、6年の時を経て、落ち着いた灰色へと表情を変えていました。灰色の外壁が庭木の緑の背景となり、より一層緑を引き立てています。杉板の白身の部分は雨風に削られ、赤身の部分が残り、うづくり加工をしたように木目がきれいに浮き出して見えます。

自然素材を仕上げに使う良さは年月とともに、味わいを増していくことだと思います。近年の工業化された外壁材ではこのような味わいは実現できません。新建材では、どうしても劣化や汚れとして見えてしまいます。自然素材を使う為には、定期的なメンテナンス必要となり多少手間が掛かってきますが、この表情は何にも代え難い価値だと思います。唯一、時間だけが作り出せる価値です。数年後、更にどんな表情へと変化していくのか、とても愉しみです。

杉板経年変化 杉板経年変化
杉板経年変化

岩室の家 木の建築賞「住宅賞」受賞

岩室の家が木の建築賞「住宅賞」を受賞いたしました。
NPO木の建築フォラムHP
施主さんに恵まれ、家作りに関わった多くの職人さんたちに恵まれたことで
賞を受賞できたのだと思います。関係者の皆さまに心から感謝いたします。
岩室の家
」では、地域に昔からある地場産業の加工技術と地場産材を活かすことで、
その地域ならではの固有の表現が生まれたのではないかと感じています。
昔ながらの知恵や技術には、いま改めて見ても、
理にかなっていて、エコロジーで、素晴らしいものが多くあります。
このような知恵や技術を現代的に再解釈し、積極的に生活の中へと取り入れ、
今後も家作りのデザインに活かしていきたいと思っています。

001 002 004

変化する建築

岩室の家へ。
障子に落ちた樹々の影が、とても美しい。
季節や天気などの自然の移り変わりにより、
日々刻々と建物の表情が変化していきます。
まるで、動かない建物に自然が生命力を吹き込んでいるかのよう。
竣工して4年の月日が経ち、室内に使われた木の色は
程よくしっとりと馴染んできているように感じます。
まさに「住む人とともに、歳をとる家」

003 002 001

岩室の家 製作ステンレス引手取り付け

以前、金物工場で製作してもらった木製建具のステンレス引手。こちら建物は、庭に面した壁面側は全面ガラスで構成されています。外の庭を見るのに、引手の方が目立ってしまっては台無しです。そのため、ハンドルが目立ち過ぎないよう、繊細なステンレス丸棒を工場で溶接してつくった特注の引手を取り付けてあります。普段はあまり目立たないように、しかし、手をかけた時にはがっちりとした掴み心地で。ステンレスの無垢棒を使った持ち手はとても頑丈で、安心感を感じます。そんな小さな見え方や触り心地に気を使い、積上げていくことが、建物としての質を上げていくことに繋がるのだと思います。

木製建具製作ハンドル 木製建具製作ハンドル

岩室の家 2回目の冬

雪が積もり、いよいよ新潟に冬が訪れました。
岩室の家は今年で2回目の冬。
夏に開け放していたリビングの開口部は、
冬の間、障子戸を閉めて生活をします。
こちらの障子には、「小国和紙」の手漉き和紙を使いました。
庭の雪に反射した明かりが、障子を通して、柔らかく室内に差し込んできます。
手漉きのならではの独特の質感。
時間とともに変化する明かりを見ていると、時間の流れを忘れてしまいます。

小国和紙 002_3 003

岩室の家 木の色目変化

岩室の家を訪れる。竣工してちょうど2年。庭の樹々は大きく育ち、青々と葉を茂らせています。
天井に張った杉板や檜の床材は、竣工当初に比べると、次第に飴色へと変わり、落ち着いた雰囲気になってきています。時とともに変化していく、木の味わいというのは良いですね。

iwamuro

岩室の家 黒皮スチールと無垢板のテーブル

こちらは、岩室の家で製作したダイニングテーブル。
スチール黒皮仕上げの脚と、無垢材の天板。
無骨でシンプル。
少し厚めのカウンタートップと、華奢なスチール脚。
この対比性が個人的には好みです。
天板の素材を変えるとまた、がらりと雰囲気が変わります。

黒皮と無垢材のテーブル 黒皮と無垢材のテーブル 黒皮と無垢材のテーブル

岩室の家 自然と共に過ごす暮らし

新潟は朝から秋晴れ。ちょっと時間を見つけて岩室の家へ。
丁度、庭の樹々が赤や黄色に色づき始めています。樹々の変化で季節の移り変わりを感じます。
日々、葉が色を変え、花や実をつけ、葉を落とす。自然と共に過ごす風流な暮らし。

岩室紅葉2 岩室紅葉3 岩室紅葉1

岩室の家 オープンハウス開催

岩室の家も完成間近。今回は今までに無いくらい、多くの人たちの手間と時間をかけて、家が出来上がりました。既製品をなるべく使わず、地場産業の技術を使って家作りをしようという試み。
私なりの和の家の解釈がここにあります。今月末、30日、31日とオープンハウスを開催します。
皆さんはこの住宅を見て、どの様に感じるのでしょうか?是非、皆さんのご意見、ご感想をお聞きしたいと思っています。多くの方のご来場をお待ちしています。

新潟岩室の家 新潟岩室の家 新潟岩室の家 新潟岩室の家

岩室の家 自主施工壁塗り完了

家族共々、真っ白になり無心に壁を塗り続けました。努力の甲斐あって全ての壁が塗り終わりました。マスキングから始まり、下塗り、柄付けまで、最終的に丸4日掛かりました。仕上がった壁は光を柔らかく拡散するというか、陽の当たる角度で見え方が変わるというか、なんもいえない独特の表情となりました。一軒丸ごと壁を塗るという骨の折れる作業、大変おつかれさまでした。ご協力下さった方々、本当にありがとうございました。

ホタテ壁仕上げ ホタテ壁仕上げ ホタテ壁仕上げ

岩室の家 杉皮入りホタテパウダー壁仕上げ

壁塗り自主施工はまだまだ続く。本日、3日目です。なんとか今日でけりをつけてしまいたいと思い、朝6時より作業開始しました。今日からはいよいよ仕上げ塗り。仕上げ塗りには、先日、小国和紙組合で分けてもらった杉皮繊維を混入し、壁にテクスチャーをつけていく段取りです。壁に凹凸の柄がつき、光の当たり方次第で影が生まれ、独特の表情が出るのではないかと考えました。まずは杉皮を細かく砕き、ホタテパウダーの中に混ぜ込みます。後はひたすらローラー塗り。仕上がった壁は、杉皮入りの和紙の様に柔らかい表情を持つ、とても質感のある魅力的な壁になりました。杉皮入りの和紙と杉皮入り壁。まるで韻を踏んでいるように空間に統一感が生まれました。

杉皮入り壁仕上げ 杉皮入り壁仕上げ