カテゴリー: プロジェクト

「新潟青山のコートハウス」作りつけ収納について

設計事務所の設計する住宅は、デザインばかりが優先されていて収納が少なく直ぐにモノがあふれてしまう、と思われている方がいるかもしれません。(確かに、そのような設計者もいるかもしれませんが。。。)私の事務所では、例え居住スペースが多少減ったとしても、できる限り収納量を確保するよう、設計をしています。

折角、居心地がよく美しい空間を作ったとしても、物があふれてしまえば、その居心地の良さを圧迫してしまいかねません。多少居住スペースが狭くなったとしても、収納を多めに設けて、美しく保ちたい空間には、物を極力置かない、または、物を仕舞っておくというのが、正しい解法だと考えるからです。

また、ただ単に収納量を増やすだけでなく、収納する物の大きさや場所を考慮して、適材適所に物が納まるよう考えていくことも大切です。玄関収納には、靴やコート、スコップやガーデニング道具など、クローゼットには、洋服や下着類など、洗面にはタオルやストック洗剤など、キッチンパントリーには、ストック食材や食器類など。さまざまな収納物には、ここに有って欲しいという固有の場所があるはずです。

私はできる限り、作りつけ収納を建築工事で作ることを心掛けています。(いわゆる大工造作収納というものです)新築時に収納棚などが無く、住み始めてから収納家具を購入する、というパターンもありますが、それだと建築費の他に更に家具購入費が別に必要になってきます。全体でかかる費用を考えれば、建築工事の中で作ってしまった方が結果、総費用は安く収まるというケースは多いのではないでしょうか。

作りつけ収納
作りつけ収納
作りつけ収納

「新潟青山のコートハウス」風景を切り取る窓

「新潟青山のコートハウス」では、隣地庭の借景を積極的に取り入れることを意図しました。室内のさまざまな個所に設けられた窓からは、樹々の緑の風景が望めます。

実はこの緑、自分の敷地内にあるのでは無く、隣地に生えている樹なのです。窓の位置や設置高さを入念に検討し、隣地の方と目が合わないよう、配慮してあります。隣地の方と目が合わず、かつ、緑が見える個所を適度にフレーミングして切り取るという操作をしているのです。

ふと足を止めて、窓の外を眺めると、空が見えたり、緑が見えたり。室内にいながらも、樹々の色づきや季節の変化を楽しむことができます。

この住宅は、敷地上の制約から南側に窓を設けられず、大半の窓を建物の北側に設けています。といっても、けして室内が暗いという訳ではありません。北、東、西と様々な方向に設けた窓からは、一日の時間の変化とともに光が差し込んできます。また、北側の窓から南側の明るい庭を望むと、内外部の明暗のコントラストが際立ち、外の風景をより美しく切り取ることができるという利点があります。それに北側からの採光は、一日を通して安定した照度が得られるという利点もあります。(図書館やアトリエなどは、直接光が差し込むのを嫌うため、北側採光が基本です。)北側の窓だからこそ、積極的に利用してみるのはいかがでしょう。

風景を切り取る窓
風景を切り取る窓
風景を切り取る窓
風景を切り取る窓

「上越高田の家」完成見学会2日目

「上越高田の家」完成見学会2日目。本日も多くの方にご来場いただき、一日中座る隙きがない程でした。ありがとうございます。家を建てる際、設計事務所へ依頼するというのは、敷居が高いようで、まだ一般的では無いようです。実際に建物内部を見てもらい、もし(設計事務所へ依頼する事が)選択肢の一つとして考えてもらえたのであれば、とても良い機会になったと思います。初めてこんな家を見た、とか、こんな作り方や考え方があったのか、と皆さんの今後の家作りのヒントになったのであれば、幸いです。

今回の建物は、スキップフロア、吹き抜け、斜め平面、勾配天井、回遊動線など様々な設計アイディアを盛り込んでいるため、その大きさの割に空間構成が複雑で、なかなか写真でその面白さを伝えることが難しい建物です。建物内を移動するに従って、他のスペースが見えたり、隠れたり。窓の外の風景も、場所ごとに違って見えています。実際に空間を体験してもらえた方は、とても面白い体験ができたのではないでしょうか。

家作りにおいて、住宅をただ効率的に、ただ機能的に作られただけの空間では、そこでの暮らしに愉しみがありません。居心地の良さ、気持ち良さ、窓の外の美しい景色など、日々感じることで、生活に潤いが生まれるのだと思います。私が関わることで、そのような住宅、空間を作っていけたらと、いつも思っています。

今回、見学会に来場頂けなかった方のために、設計者自ら建物内を案内する動画を作成してみました。20分程度と少し長めですが、興味を持っていただけたら、嬉しく思います。

上越高田の家内部写真
上越高田の家内部写真
上越高田の家内部写真

「上越高田の家」完成見学会1日目

「上越高田の家」完成見学会を行いました。大型連休初日、かつ、雨やみぞれの降る天気と、あまり良い日和ではありませんでしたが、多くの方にご来場いただきまして、とても感謝しております。通常とは異なる住宅空間に、皆さん戸惑いつつも、共感して頂いけたようで。少なくとも、愉しんで頂けたのではないかと思います。

とても見晴らしが良い、室内が明るい、空間構成が面白いなど、様々な意見を聞くことができました。皆さんがどのように感じたかを、今後の設計にフィードバックして積極的に活かしていきたいと思います。

来場頂いた方から一つ質問がありましたので、こちらで回答をしておきます。なぜ建物の棟が異なる角度に向いているのか、について。計画敷地は、高田公園の桜並木や遠くの山々などが、様々な方向に見える景色の良い場所でした。その敷地の景観を積極的に活かし、それぞれの風景が最も効果的に見えるように、それぞれの棟の向きを向けているのです。また、両側の壁が平行でなく、壁の角度が変化してくことで、空間の質が変化することも考慮しています。

何か気がついたことや、設計者に聞きたいことがあれば、気軽に声をかけてください。答えられることであれば、その場で説明をしますので。

上越高田の家内観
上越高田の家内観
上越高田の家内観
上越高田の家内観

「上越高田の家」の屋内空間構成

「上越高田の家」完成見学会を数日後に控え、工事は最終段階に入りました。カウンターやキッチンなどの家具が搬入され、床に貼られていた養生シートが剥がされ、いよいよ室内空間の全貌が現れました。

今回は、内部の空間構成に、スキップフロア、吹き抜け、斜め平面、勾配天井、回遊動線など、さまざまな手法をこれでもか!という位、ふんだんに取り入れています。場所を変える毎に、空間の見え方や雰囲気が異なり、歩き回ること自体が楽しい空間となっています。少し狭くて落ち着いた場、天井が高くて広々とした場、景色の良い場、ちょっとこもれる場、などなど、場ごとに雰囲気の異なる空間がそこかしこに点在しています。現場を訪れたお子さんは、室内をくるくると飽きることなく、楽しそうに動き回っていました。

また、大きなワンルーム空間でありながらも、互いに見える場所、見えない場所を意図的に作り出すことで、互いが意識せずとも、互いの気配を感じて生活ができるよう配慮しました。姿は見えなくとも、他の家族が何をしているのかが、それとなく分かる。そんな付かず離れずの距離感を実現しています。

内部空間構成
室内空間構成
内部空間構成
内部空間構成
内部空間構成

「上越高田の家」内装仕上げ工事

「上越高田の家」大工工事概ね終わりに近づき、現場は内装仕上げ工事に入っています。この段階になると、塗装屋さん、タイル屋さんなどの仕上げを担当する職人さん達が登場してきます。タイルの割り付け方や細かな納まり、塗装の色合いや質感など、設計図面では詳細に指示しにくい内容を現場で職人さんと打合わせて決めていきます。

特に難しいのは、塗装色。ちょっとした色合いの違いで全く異なる雰囲気になりますし、色だけでなく、ツヤや質感も、空間の雰囲気を大きく左右します。塗装色を決める際には、何種類か塗装サンプルを作ってもらい、実際に現場にサンプルを並べて、見比べて決めていきます。

塗装が塗られると、室内の雰囲気が更にがらっと変わるはずです。工事完了まで残り10日。ここまでくれば設計者が決めることは、ほぼ終わりに近づいています。最後の引き渡し書類や完了検査申請書類の作成・提出、増減金額のまとめなど、そろそろ事務的な手続きを進めていかなければ。

床タイル張り
塗装サンプル
塗装下地

「上越高田の家」4/27(土)〜4/28(日)完成見学会を開催します

上越高田の家」施主さんのご厚意により完成見学会を行うこととなりました。ぜひこの機会に空間を体験してみてください。高田城の堀の傍に建つ木造2階建ての住宅です。敷地のさまざまな方向に見える景色を積極的に室内に取り入れた、とても景色の良い住宅です。窓の外には、お堀の桜並木や遠くの山の稜線が望めます。仕上げ材には、無垢材フローリングや漆喰塗装を採用し、自然の木の香りのする心地よい室内空間を実現しています。設計および建築途中の進捗写真などはこちら

開催日程は
4/27(土曜)10:00〜17:00
4/28(日曜)10:00〜17:00
となります。住所は新潟県上越市西城町となります。詳しい情報等は、メールまたは電話でお知らせいたします。
お気軽にご連絡ください。
メール design-studio.kaneko@nifty.com
電話 050−3552−4649

構造・規模:木造2階建て
建築面積 : 90.82㎡ (27.47坪)
延べ床面積: 153.04㎡ (46.29坪)

模型内部写真02
模型内部写真03
模型内部写真01
模型内部写真05
模型内部写真04

「上越高田の家」風景を切り取る窓

「上越高田の家」現場へ状況確認と今後の工程打合せにいってきました。ここ上越でも長い冬が終わり、桜が満開となりました。現場を訪れたのは、ちょうど上越高田城の桜が満開の時。建物の窓からは、ほんのりピンク色に花開いた華やかな桜色が目に入ってきます。

設計を進める際に意識したのは、窓の外から、お堀の景色や遠くの山々が望むこと、でした。敷地境界に対して、平行ではなくわざわざ建物の軸を振っているのは、この桜の樹々を望むためでもあるのです。ダイニング正面の窓には、お堀に掛かる赤い橋と桜並木、そして山の稜線。キッチンとワークスペースからは、お堀の水面や桜の樹々を望むことができます。

窓を採光や通風を採るためだけのものと考えるのではなく、風景を切り取るフレームとして考えること。フレームで周りの景色をマスキングすることで、その切り取られた部分だけに焦点が当たり、今まで以上に窓の外の景色を意識するようになる、そのような効果を積極的に活かして、窓の配置や大きさを設計しました。

桜が満開ということもあるのでしょうが、意図した通り、家の中どこにいても外の桜の風景が目に入ってきます。春の桜も良いですが、新緑の季節や蓮の花の季節など、一年を通して季節の移り変わりを楽しめそうです。

上越高田の桜
上越高田の桜
上越高田の桜
上越高田の桜

「松庵の家」屋根上デッキからの風景

「松庵の家」庭の桜が満開になったので見にきませんか?と、お施主さんからのお誘い。ご厚意に甘え、花見に伺ってきました。こちらの家のすぐ目の前には、家の高さよりも高い、立派な桜の樹が以前よりありました。この桜を見るため、家の中には、様々な仕掛けを設けています。

一番の仕掛けは何と言っても、屋根上に設けた物見デッキ。梯子を登り、屋根上へひょいと顔を出すと、、、目の前に満開の桜の花が広がります。通常ですと、桜の花は見上げて見るものです。このように目の前に桜の花を見るということは、そうそう無いでしょう。間近に見る桜は圧巻です。

建物の建つ地域は、住居専用地域で、高さ2階までしか建てられません。ですので、屋根の上に上がると、遠くまで視線が広がり、とても開放感があります。しかも、屋根の上に向けて窓を設けている家は少ないので、他の家からの視線も案外気になりません。ご主人は、たまに屋根の上に登ってぼーっとしたり、夜更けに望遠鏡を覗いて天体観測をしているそうです。なんとも贅沢な空間となっています。

こちらの敷地には、もともと多くの樹木が植えられていました。それらの樹木を避けるように、くねくねとした建物平面形状となっています。各部屋には、高さや幅、方位の異なる窓が設けられ、それぞれの窓の外には、異なる樹々の景色が見えるという趣向を加えています。当然、桜の花は、寝室からも、廊下からも、浴室からも、それぞれ異なる角度、異なる景色で望むことができるようになっています。家の中を移動すると、ここからも、そこからも、と様々な桜の表情を望むことができるのです。写真4枚目は、浴室の窓から望む桜の風景。優雅に桜を見ながら入る風呂とは。なんとも最高ですね。

花見の後には、夕食までごちそうになりまして。自分の設計した家で、お施主さんの手料理をご馳走になるなんて、設計者冥利につきます。本当にありがとうございました。

屋根上デッキ

屋根上デッキ

屋根上デッキ

浴室からの桜

「上越高田の家」天井勾配による空間の変化

「上越高田の家」天井仕上げ工事が進んでいます。今回、天井仕上げに選んだのは、ウェスタンレッドシダーです。赤みと白みのコントラストが強い、独特の表情を持つ材です。ランダムな木の風合いが木の温かみを感じさせてくれます。

ウェスタンレッドシダーを勾配天井に貼ったことで、より天井の勾配が強調されたようです。今回の建物は、棟ごとに異なる天井勾配を設けています。ダイニング部分は天井勾配を強くして、メリハリの効いたシャープな空間に。リビング部分は緩やかな天井勾配として、ゆったりと落ち着いた空間に。天井の勾配ひとつ変えるだけでも、空間の雰囲気は随分と異なります。

ウェスタンレッドシダー仕上げ
ウェスタンレッドシダー仕上げ
ウェスタンレッドシダー仕上げ

「上越高田の家」ダイニングテーブル天板選び

「上越高田の家」ダイニングテーブルの天板を選ぶため、お施主さんと材木屋さんへ行ってきました。伺ったのは、新潟市小須戸にある材木店・製材所の新発田屋さん。材木倉庫の中には、一人で持ち上げられないほど大きなカウンター材から手頃な大きさの板まで、所狭しと材木が積み上がっています。

ここで材木を見たら、無垢材と一言でいっても、数えられない程の種類があることに驚くはずです。また同じ樹種でも、柔らかな表情の木、ハードな印象の赤みのある木、曲がった木やまっすぐな木、特殊な杢目の入った板まで板一枚一枚に表情があり、どの一枚をとっても全く同じ表情のものはありません。

その中から施主さんが目を心を惹かれたのは、神代タモ(じんだいたも)。神代とは、千年以上前の太古の時代から土の中に埋まっていた木の事を呼ぶようです。土の中にありながら千年以上も腐ることなく、存在していた貴重な材です。そんな木には、神が宿っているとされています。どうやらお施主さんは、この木に呼ばれてしまったようです。

材木との出会いは、運命だと思います。皆さんも一度、本物の無垢材を実際に見て、触って、体験してみてはいかがでしょうか。一生付き合える、これだ!という一枚に出会えるかもしれません。(3枚目の写真は、互いに拝み倒す新発田屋さんの社長とお施主さんの図)

無垢材カウンター選び
無垢材カウンター選び
無垢材カウンター選び
無垢材カウンター選び

「新潟青山のコートハウス」外壁杉板張り

施主さんとDIYで塗装した杉板が張られた外壁が、外部足場が解体され、いよいよその姿を現しました。自分たちで塗ったという事もあり、杉板の張られた姿を見て、嬉しさと充実感を感じることができました。何事も体験してみることは大切ですね。

今回採用した塗装は、杉材に浸透し、耐候性が増すという特殊な塗料です。塗装した杉板は、少しグレー掛かり、新築というよりも、すでに以前からそこに建っていたような落ち着いた佇まいとなりました。サイディング張りや金属板張りの外壁が多い中、木の表情を持つ建物というのは、まるで人を迎えてくれるような柔らかい表情を持っているように感じられます。

耐候性やメンテナンス性などから敬遠されることが多い自然素材ですが、それを差し引いても大きな魅力を持っています。皆さんも家造りの際には検討してみてはいかがでしょう。

杉下見板張り外壁
杉下見板張り外壁
杉下見板張り外壁