カテゴリー: 建築など

「上越高田の家」模型を作ることの意味

「上越高田の家」のスタディ模型の内部を写真に撮ってみました。模型の内部を覗くと写真の様にに見えます。平面図や断面図などの2次元情報に比べて情報量が多く、どのような空間となるのかがイメージしやすいのではないでしょうか。模型を使えば言葉を使うよりも、より感覚的なコミュニケーションが可能になります。
複雑な空間構成であればあるほど、その空間を実際に経験した事がなければ、どんな雰囲気になるのかをイメージするのは困難です。模型の中を覗いてみることで、なるほど、こんな空間になるのか、と初めて頭にイメージが浮かび上がってくることも多く、依頼者だけでなく、そのような事は経験を積んだ設計者にとっても同じです。食べたことのない食べ物の味をイメージできない様に、経験したことのない空間はイメージできない、つまり設計することはできません。本来であれば、似たような空間を訪れて実際に経験してみるのが一番良いのですが、そんなに都度よく同じような空間がある訳ありません。ということで、模型を作って疑似的に経験する、といった作業が意味を持ってきます。模型を作り、中を覗いて空間をヴァーチャル体験し、その体験から浮かんだアイディアを元に、更に計画案を磨き上げていく、その作業が設計にとっては無くてはならないものなのです。

といっても、最近のIT技術革新によってヴァーチャル体験技術は飛躍的に技術向上していますので、その内にPC上の再現にとって代わられるかもしれません。少なくとも模型というモノは、小さくとも現実的なモノですので、手に取って見える現実という意味で、2020年の現時点では、3Dヴァーチャル映像よりも価値があるのではないかと、私は考えています。

模型内部写真
模型内部写真
模型内部写真
模型内部写真

設計の手段と目的について

設計を進めるということは、つまり、コミュニケーションすること。
いきなりですが、最近思ったことを言葉にしてみました。設計の仕事といえば、図面を描いたり、模型を作ったり、スケッチを描いたりと、さまざまな業務がありますが、それらは全て依頼者や施工者とコミュニケーションする為のあくまで「手段」です。「手段」とあえて書いたのは、設計やデザインの現場で、それらが手段ではなく、目的となっていることが意外にも多いからです。
確かに、図面を描いて、模型を作っていれば、明らかにカタチが表れてくるため、設計を(デザインを)しているような気になります。しかし実は、それらは設計手段でしかなく、設計の目的ではありません。では、設計の目的は何かというと、図面や模型などの現実的なものを使って、相手とコミュニケーション(意思疎通や対話)、つまり、共同幻想をする、という事です。せっかく図面を描いても、施工者にその意図が伝わらないのでは、まったく意味を成しませんし、いくら精巧に模型を作ろうとも、依頼者とイメージ共有することができないのであれば、これもまた意味を成しません。つまり設計の目的を達していません。
図面や模型、スケッチなど、様々な「手段」を駆使し、何とか「設計目的」であるコミュニケーションを図ろうとするのですが、なかなか互いのイメージを共有していくというのは、難しい事です。インターネットやスマートフォンなどの技術が発達、普及してきた今後、設計の現場でも、新たなコミュニケーション方法が表れてくることが予想されます。以前に比べれば、メール、インターネット、リモート会議システムなど、コミュニケーション方法は、既に随分と発達してきてはいますが、この先、もっと有効に、もっとスムーズに、コミュニケーションを図ることができるようになっていけば、更に良い建築が可能になることができるはず!と、今後に期待しつつ。

remotework
remotework

ホテルの可能性について考える

最近、ホテルに宿泊することが増えている。多い時には毎週、長い時には一週間に渡ってホテル暮らしの時もあった。住まいを新潟に移し、仕事の際には都内近郊へと出張するスタイルへと生活スタイルを変えたためだ。その様な生活スタイルへと変えたことで、ホテルの使い方が大きく変化してきた。

以前は、ただ寝れればよい、つまり、仕事が終わった後に就寝するための場所、という認識であった。しかし、出張での滞在時間が増えていくに従って、ホテル内で過ごす時間が増えていった。 出先で仕事をしようと思っても、カフェで長い時間、場所を占拠する訳にもいかないし、まず電源の確保、WIFI通信の確保といった点でも、外出先で賄うことが難しい。そうなると、やはり一度ホテルへ戻って仕事するか、となる。最近のパターンは、できるだけ早い時間にチェックインを済まし、(最近は14時と随分早い時間からチェックインできるホテルも増えてきた)ホテルの部屋で仕事をし、打合せがあれば出かけ、それが終わればまたホテルに戻って仕事をしたり、本を読んだり。朝起きれば、チェックアウトぎりぎりまでホテルで仕事してから出かける、という感じで。

つまり、就寝目的だけの場から、仕事の場でもあり、くつろぎの場でもあるという風に、ホテルの利用の仕方が変わってきている。もちろん、ホテル自体が変化した訳ではなく、自分の使い方の方が変化しただけなのだが。 このような背景には、ネットで簡単にホテルの予約ができるようになったというネット技術の背景が大きく関係しているように思う。(じゃらん、booking.com、Airbnbなど多くの予約サイトが巷に溢れている。)打合せ場所に近いホテルを予約し、そこを活動拠点として使う事もできるし、ただ寝るだけの時にはカプセルホテル、長く滞在する時にはデスクのある部屋と、利用用途に応じて気軽にホテルを選ぶことができる。

ネット環境とIT技術の変化によって、ホテル選択の自由度はが大きく増している。 今やホテルを気分で選べる時代。ホテルを既存の宿泊する場というイメージから離れて、さまざまな活用方法を考えてみるというのは面白いのではないか。例えば、仕事する場、つまりオフィスとして使ってみるのはどうだろう。映画を大画面で鑑賞するための視聴スペースと考えてみるのはどうだろう。キッチン付きの客室にみんなで集まってホームパーティーするというのはどうだろう。そう考えると急にホテルの可能性が広がっていくのではないだろうか。既存の考え方に縛られず、もっと自由にホテルを利用してみてはどうだろう、というのが私の今の考えだ。(そして今もホテルの部屋に籠って、この文章を書いている)

hotel
hotel
hotel

2世帯住宅を設計する上で最も大切なポイントは

2世帯住宅の設計で最も大切なポイントは、世帯間(世代間)の距離を設定することです。2世帯と一言にいっても、その関係性は多種多様。距離の近い世帯もあれば、距離の離れた世帯もあります。100世帯があれば、100通りの解があるわけです。互いが気兼ねせず、自分達のペースで暮らせるかどうかは、世帯間の心理的・空間的距離によって決まってきます。間取りという平面的距離感が、その世帯間の心理的距離感に合っていることが、互いに心地よく過ごすためには重要なのです。

私の事務所で設計してきた2世帯住宅には、玄関の入口から完全に居住エリアを分けている完全独立型から、玄関や浴室、リビングなど一部を共用する半同居型、寝室以外はすべて共有という完全同居型まで、さまざまなパターンがあります。各パターンとも、その組み合せ方によって世帯間(世代間)の距離には、ヴァリエーションがあります。

ただ、闇雲に生活エリアを離すだけでは、一緒に暮らしている意味はありません。折角同じ屋根の下に暮らす訳ですから、一緒に暮らすことのメリットを享受しつつ、つかず離れずの程よい関係を作り出すこと。それが2世帯住宅を設計する際の肝だと思います。

2世帯住宅の距離 2世帯住宅の距離 2世帯住宅の距離

調査鑑定書の作成業務について

建築関係の訴訟や調停において必要となる「私的(調査)鑑定書」。私の事務所では、このような調査鑑定書の作成業務も行なっています。設計事務所といっても、建物の設計業務だけを行なっている訳ではないのです。現地調査や報告書の作成、提出書類の作成など、さまざまな業務を行なっています。

建築関係の訴訟では、瑕疵(間違いや欠陥)の判断において専門的な知識が必要となってきます。ここがおかしい、ここが間違っているとただ主張するだけでは、裁判所は瑕疵を認めてくれません。何が、どのような根拠で、どのように違っているのか、また、その瑕疵(欠陥)を取り除くにはどのような方法があるのか、などなど論理的に証明していく必要があります。

私的(調査)鑑定書は、主張の整理を行ない、主張の根拠を論理的に示す方法です。今回依頼いただいたケースでは、鑑定内容は多岐に渡り、かなりのページ数になりました。本来であれば、訴訟など起きないことがベターですが、事故のようなもので、決して起きないと言い切ることはできません。もし建築関係の訴訟や調停でお困りでしたら、お気軽にご相談ください。できる限り、誠実に対応していきたいと思います。

金子勉建築設計事務所
メールアドレス info@kaneko-archi.com
電話 0120-797-899
金子勉建築設計事務所HP

建築私的鑑定書 建築私的鑑定書

「燕ぎんなん保育園」が「キッズデザイン賞」を受賞しました

新潟県燕市で設計した「ぎんなん保育園」が2015年キッズデザイン賞を受賞いたしました。この賞を受賞できたのは、このプロジェクトに関わってくれた多くの人たちの力あってのものだと思います。園長先生を始め、保育園スタッフや理事の方々、大工さんや施工関係者、市役所の担当の方々に改めて感謝いたします。この賞は私の事務所だけでなく、皆さんと共に受賞したものです。これからも設計を通して社会に貢献できるよう心掛けていきたいと思います。

審査員コメント(転記)
「建築空間自体を子どもたちの五感を育む装置と捉え、設計された曲線を活かした行き止まりのない空間、自然素材を使った内装仕上げが印象的である。見る位置、遊び方によって姿を変えるこの空間で、子どもたちはさまざまな思い出を育むことができるだろう。」

キッズデザイン2015 web
ぎんなん保育園受賞コメント

キッズデザイン賞新潟
燕ぎんなん保育園燕ぎんなん保育園

スタディ模型作製

先週から検討を進めていた複合ビル計画。検討に検討を重ね、平面を決定しました。今回採用したのは平面の異なる2案。どちらの案も甲乙つけがたいということで、模型を作って両方をプレゼンすることに。平面構成が異なるため、立面の表情も変わってきます。端正な印象のグリッド立面とポツ窓の開いた壁面が印象的な立面。もし、このような賃貸住居が並んで建っていたら、皆さんはどちらに住みたいでしょうか。どちらが採用されるのか、それともまた違う案となっていくのか。乞うご期待。

スタディ模型作製 スタディ模型作製 スタディ模型作製

プランスタディ中

都内某所に複合ビルを計画中。敷地北側には住居専用地域が広がるため、日影制限が掛かってきます。日影図を睨みながら、なるべく影を北側に落とさないよう建物の外形を削り、平面を調整しています。日影規制は建物のプランニングに大きく影響してきます。避難階段をこっちにしたり、あっちにしたり。更に部屋の使い勝手やレンタブル比、施工性などを考慮しながら、検討を進めています。上手くまとまるかな。

プランスタディ プランスタディ

「ぎんなん保育園」引くというデザイン方法

ぎんなん保育園は木造平屋の建物です。平屋であることで床面積600㎡超と、かなり大きな建物になりました。基本構想の段階では2階建て案も検討しましたが、最終的には平屋案を採用しています。なぜ平屋としたのかというと、2階建てとすると子供達が2フロアに分かれてしまい、年齢の異なる子供達同士の交流が図れなくなってしまうのを避けることが一つの理由でした。それに加え、もう一つの理由がありました。敷地隣に建つ寺の本堂を隠してしまわないようにと、意図したことです。

本堂の瓦屋根はこの地域にとって、昔から変わらぬ風景であり、心の拠り所でした。その風景を隠してしまうのではなく、新たに建物が建つことでシンボリックに際立たせたいと考えたためでした。水平方向に伸びる平屋の園舎と垂直方向に立ち上がる本堂の瓦屋根。お互い異なる方向性を与えることで、互いが互いを強調し合っているように見えます。自らが主張するのではなく、敢えて引くことで環境を変えるデザイン方法。以前よりも本堂の屋根が目に留まるようになったのではないでしょうか。

引くデザイン

引くデザイン

住宅プレゼン模型完成

プレゼン模型が完成しました。この模型を持ってクライアントへの提案に臨みます。今回の提案は木造2階建てのコンパクトな住宅。あまりにデザインデザインした華美な空間になり過ぎないようシンプルであることを心掛けました。片流れの屋根と四角い窓が特徴のかわいらしい雰囲気の建物です。

プレゼン模型 プレゼン模型 プレゼン模型

建築模型 作製中

とある住宅の模型を作製中です。建築の仕事をしている人ならまだしも、普通の人には平面図だけでどんな空間になるのか、イメージしにくいですよね。そこで私の事務所では出来る限り模型を作ってクライアントへ提案をするようにしています。模型が立ち上がってくると同時に、部屋同士の繋がりやその部屋雰囲気、室内への光の入り方など様々なイメージがリアルに沸き上がってきます。より現実的に想像できるよう、キッチンカウンターやソファー、テーブルなどの家具も作り込んでいきます。

建築模型 建築模型

ぎんなん保育園 設計書類の山

ぎんなん保育園改築工事。
工事完了まであと少し。
現在、設計では役所への提出書類や現場資料をまとめる作業に追われています。
設計の仕事は、図面だけを描くだけではありません。
設計図面を書くのは当然ですが、現場が始まってからも、
細かな納まりを決めたり、現場で職人さんと打合せをしたり、
仕上げ材を選んだり、関係官庁との調整をしたり、と様々な業務を行ないます。
今回、ぎんなん保育園が工事完了するまでに作成した図面や書類を積上げてみました。
なんと、その高さ50センチ。膨大な情報量です。
木造平屋の建物を作るだけでもこれだけの書類が必要になってきます。
情報を整理し、図面や指示書で現場へ正確に伝えていくということ、
つまり、コミュニケーションを図ることが設計の主な業務なのです。

設計資料 設計資料