カテゴリー: 九州・沖縄

菊竹清訓設計「都城市民会館」を訪れて

宮崎県都城(みやこのじょう)市に建つ菊竹清訓設計の「都城市民会館」を見に行ってきました。こちらの建物は、私がまだ建築を学び始めた学生の頃、本を見て「なんだ?このすごい建物は!」と衝撃を受けた建物の一つです。トゲトゲの突起を持つ巨大な巻き貝のような外観は一度目にしたら忘れられないものでした。1966年の完成から53年経った今でも、地方都市の平和な町並みの中に明らかな異物として存在感を放ち建っていました。

建物の中心に要となる鉄筋コンクリートの構造体を置き、その要の部分から鉄骨の門型フレームが扇状に広がり、円弧型の屋根を吊り下げています。噂によれば、ベビーカーの幌がデザインモチーフになっているとか。確かに昔のベビーカーの幌の形によく似ています。屋根形状が円弧でなく非対称となっているのは、どうやら内部空間の必要性から来ているようです。一方が客席空間、もう一方がステージ部分となっており、部分毎に要求される奥行きや天井高が異なり、それがそのまま外観の形に現れている様です。(既に建物は閉鎖中で、中に入れませんでしたので、私の予想でしかないのですが。)

気持ちがざわつくような圧倒的な外観。その「奇抜さ」は、今でも衰えること無く、そこに存在していました。まるで、その周辺環境を拒むかのように。このような建ち姿が果たして良いのかどうか、私には判断がつきませんでした。建築というのは、(最初は違和感がありながらも)その場所に時間とともに馴染み、人々に大切に利用され、自然とその町に溶け込んでいくものだと思います。この建物が、今でも異物感ある建物だということを、良い意味ととるか、悪い意味ととるか、設計に携わる者として、じっくりと時間をおいて考えてみる必要があると、感じました。

都城市民会館
住所:
2019年4月の時点で、建物は閉鎖中。

都城市民会館
都城市民会館
都城市民会館
都城市民会館

片岡献設計「聖クララ教会(与那原カトリック教会)」を訪れて

打合せのため、夏真っ盛りの沖縄へ。打合せの合間を縫って、以前から訪れたいと思っていた与那原の「聖クララ教会」を訪れてきました。

与那原へは県庁前からバスで約30分。バス停を降り、ふと見上げると、丘の上に中央が低くなったバタフライ型の特徴的な外観が見えています。その外観に誘われるように、丘の上へ上へと階段を上っていきます。敷地内は、地元の方の通り抜けになっているのか、途中、さまざまな人とすれ違います。教会というと何となく近寄りがたいイメージがあるのですが、こちらの教会はとても親しみやすく、敷地内には沖縄らしい柔らかな空気が流れています。

エントランスを通り抜け、中へ入ると、目の前には沖縄らしい濃い緑の樹々と光の溢れる中庭が広がっています。その中庭を取り囲むように配置された回廊をぐるりと廻り、聖堂へ。

聖堂内に入ると、右手には色とりどりの色ガラスの嵌まったガラスサッシ、正面には祭壇が見えてきます。入口から祭壇に向けては、次第に高くなっていく天井。その視覚的効果なのか、(実際に距離の割に)祭壇が間近に迫っているように感じます。これは、神を遠い存在ではなく、より親密に(身近に)存在として感じるよう、設計者が意図してデザインしたのかもしれません。そうだとすれば、さりげなくありながら、とても秀逸な仕掛けです。

椅子に座り目を閉じていると、海風が聖堂内を涼やかに吹き抜けていきます。色とりどりのガラスが嵌め込まれたガラスサッシは、部分部分、開けることが出来、その部分には網戸も取付けてあります。左右の開口部からは、途切れること無く風が流れていきます。ただ美しいだけでなく、とても使い勝手よく、気候風土を考えた合理的な造り。

写真から勝手に考えていたイメージではもっと硬質な崇高な空間だと思っていたのですが、実際にこの場を訪れて感じたのは、とても親しみやすく、温かな空間だというということでした。沖縄の、あの温度、あの湿度、あの静けさ。言葉や写真では伝えきれない沖縄の濃密な時間が、そこには存在していました。

聖クララ教会(与那原カトリック教会)
住所:沖縄県島尻郡与那原町字与那原3090-4
電話:098-945-2355
見学に関する問い合わせは直接教会へ

聖クララ教会 聖クララ教会 聖クララ教会 聖クララ教会