無垢フローリングの経年変化

今回は無垢材フローリングの経年変化について書いてみようと思います。以前は、無垢フローリングは反りがでる、収縮で隙間はできてしまう、などの問題が出ることがありましたが、近年は乾燥技術や加工技術の発展により、無垢フローリングだからといって必ず問題が起こるようなことは無くなりました。(とはいえ、施工方法を間違えれば、問題が起こる可能性が無いとは言えませんので、細心の注意が必要ではありますが。)そのような背景もあり、私の事務所でも無垢フローリングを採用する機会が増えてきました。床材を選ぶ際には、実際の床材サンプルを見て出来上がる空間をイメージをするのですが、そのサンプルはまだ新しい材料で経年変化したものではありません。できあがった当初だけでなく、数年後、数十年後にどのような表情へとフローリングが変化していくのかを想像しつつ、床材を選択することも大切だと思います。

  1. 無垢フローリングの色味の変化
  2. 色の濃くなる樹種・薄くなる樹種
  3. 傷あとも味になる
  4. 色の変化はなぜ起こるのか

無垢フローリングの色味の変化

床を貼ってから11年が経過した栗フローリングの上に、新しい栗フローリングを置いた写真です。当初、柔らかな肌色だった栗材は、飴色がかった深い濃茶色となり、ぱっと見ただけでは同じ樹種とは思えないほど色味が変化しています。

着色したのではないかと思われるかもしれませんが、フローリングを貼った後、たまに雑巾で拭き掃除をする程度で、オイル拭きも何も一切行わないノーメンテナンス状態で、ここまで色味が変化しました。色の変化は無垢材の一番の魅力です。日々の変化は小さく、住んでいる方にとっては気がつかない程度でしょうが、年月を重ねて比べてみれば、大きく色が変化しているのです。

色の濃くなる樹種・薄くなる樹種

経年変化で全ての樹種が濃い色になる訳ではありません。ヒノキ、栗、杉、パイン、オークなどの比較的色目の薄い木は、年を経るごとに濃い色目なる傾向があり、ウォルナット、花梨、アカシア、ローズウッドなど、もともと色が濃い目の木は、色が薄く(浅く)なる傾向があります。また木目が際立つ樹種もあれば、時間とともに木目が目立たなくなる樹種もあります。

上の写真のように杉材に特によく見られるのですが、丸太周辺の樹皮部分(白太/しらた)の淡い色目の部分と丸太中心付近(赤身/あかみ)で色目の濃い部分との色の差は、しばらく経つと淡い部分と濃い部分の色の差は減り、全体的に色が均一になってきます。

傷あとも味になる

床は使っているうちに、モノを落としたり、椅子の脚で擦れたり、と傷あとがついてしまいます。杉やヒノキ、パインなどの柔らかい樹種は特に傷がつきやすい材です。

せっかく無垢材を床に使うのであれば、傷をマイナス点と考えるのではなく、深みや味わいと捉え、プラスと考えた方がよいでしょう。(最近ではわざわざ最初からスクラッチ傷をつけたアンティーク床材も登場しているほどですので)写真は竣工から11年後のヒノキ床材です。みずみずしかった淡い肌色は、飴色へと変化しています。ところどころ、ひっかき傷や穴がついていますが、その傷があるからこそ、この風合いが出せているといっても良いかもしれません。

色の変化はなぜ起こるのか

陽の光が当たる場所ほど、木の色味が早く変化していきます。昔から「木が日に焼ける」といいますが、紫外線が木の成分を変化させることが大きな要因のようです。

ただし、色目の変化は木の表面付近だけに留まるので、表面を削れば元の木肌の色が戻ります。空間の雰囲気を一新したいなら、床面にサウンディング処理(やすり掛け処理)を行えば、床を貼った直後のみずみずしい床色に戻すこともできます。

年を重ねるごとに色味を変化させていくのは、無垢材の大きな特徴です。床材は短期で貼り変えるものはありません。一度貼ったら何年も使っていくものです。使っていくうちに変化し、味わい深くなっていくのは、モノを長く使っていく際の愉しみとなるでしょう。