無垢材の仕上げ種類とソープフィニッシュ仕上げの手順

無垢材カウンターの仕上げには、さまざま方法がありますが、私の事務所でよく採用している塗装仕上げをいくつか挙げ、解説してみたいと思います。

    1. 無垢材カウンターに仕上げが必要なのはなぜか
    2. 無垢カウンター材の仕上げにはどんな方法があるか
    3. 各仕上げの特徴
    4. ソープフィニッシュ仕上げの手順

無垢材カウンターに塗装仕上げが必要なのはなぜか

無垢材カウンターは、水に塗れたり、コーヒーをこぼしたり、手で触ったりすると、表面に汚れが染み込みやすい自然素材です。写真の左手はオイル塗装仕上げ、右手は塗装無しの無垢材に水を垂らして数分後の状態です。(上が西南さくら、下がナラ)オイル仕上げ表面は水をはじき、抜き取れば跡が残りませんが、塗装してない表面は水分が染み込んでいるのが分かります。水であれば乾けば元に戻るのですが、油汚れやコーヒーや紅茶などは跡が残ってしまいます。

無垢材を塗装せずにそのまま使うこと自体は問題ないのですが、濡れ跡や汚れがつく度に、やすり掛けをしていてはキリがありません。塗装仕上げを行うことで、表面に撥水効果を持たせ、汚れにくくすることができます。

無垢カウンター材の塗装仕上げにはどんな方法があるのか

大きく分けて、塗装には表面に被膜を作るタイプと、被膜を作らないタイプの2種類があります。被膜を作るタイプの塗装は、木の表面を塗装被膜で固め、木の呼吸を止めるもの。被膜を作らないタイプの塗装は、成分が木の表面に浸透して、撥水や劣化防止効果を持たせるもの。

被膜を作る塗装仕上げの代表は、ウレタン塗装です。せっかく無垢材を使うのであれば、被膜を作らずに仕上げたいところですが、湿乾変化の激しい場所や気温変化の高い場所などで無垢材を使うと、反りが発生する可能性が高いため、表面を被膜で覆い木の呼吸を止めることで、反りや割れを抑えることができます。ただし、木の表面が塗装被膜で覆われるため、、触り心地は塗装面のつるっとした質感になります。(最近では艶消しで、木の質感が残るウレタン塗装も出てきています)使っていく間に、塗装面にスクラッチ傷がついて表面が曇ってくるため、定期的にポリッシュを掛けるなどのメンテナンスが必要になります。

被膜を作らない仕上げには、オイル塗装、蜜蝋ワックス塗装、ソープフィニッシュ仕上げがあります。いずれも脂分が木の表面に浸透し、防汚効果を発揮するものです。塗料によっては、撥水効果だけでなく、木に栄養分を与えるものもあります。撥水効果は永遠に続くわけではないので、年に数回、定期的に塗装をかけてやる必要があります。表面に被膜をつくらないため、木の質感がそのまま残り、触り心地が良いことが特徴。木の経年変化を愉しめるのもこの塗装の利点です。

各仕上げの特徴

ウレタン塗装は、水で濡らしたような濡れ色に仕上がります。表面が塗装被膜で覆われるため、つるつるとした触感になります。

オイル塗装、蜜蝋ワックス塗装は、いずれも水で濡らしたような色目になります。そのままの木の色目よりも色目が濃く、杢目がくっきりと仕上がります。オイルを浸透させて仕上げるので、ハンドワックスを塗った後のようなしっとりとした触り心地になります。

ソープフィニッシュ仕上げは、何も塗装しない木の自然な風合いのまま仕上がります。さらさら、すべすべの触り心地になるのが特徴です。(撥水・防汚性能はオイル仕上げよりも劣るため、水を常時使う場所に使用する場合には注意が必要です。)

水を多用する個所には耐水性の高いウレタン塗装。木目を強調させたい場合や濃い色に仕上げたい場合は、オイルまたは蜜蝋ワックス塗装。色目や杢目を目立たせたくない場合には、オイルフィニッシュ仕上げと、場所ごとに仕上げを使い分けるのがベターです。わたしは、優しい雰囲気を作りだす際にはソープフィニッシュ仕上げ、空間のポイントとして木を強調する際にはオイルまたは蜜蝋ワックス仕上げと使い分けています。

無垢材を選ぶ際は、水で濡らして表情を見るのが鉄則です。上の写真は、アズキナシという無垢材の右手半分を水に濡らした写真です。水に塗れた部分は、赤みが強く、杢目もはっきりと出ているのが分かります。

濡らすと木の印象ががらっと変わる材もあれば、まったく印象が変わらない材もあります。オイル塗装で仕上げたら、最初見た無垢材のイメージとは違ってしまった、とならないよう、必ず水で濡らして表情を確認してください。

ソープフィニッシュ仕上げの手順

上に挙げた塗装の中でも、もっとも手軽にできるソープフィニッシュ仕上げの手順を紹介します。石鹸水を木の表面に塗るだけですので、誰でも簡単にできて、どんな木に塗っても失敗はありません。手軽にできなければ定期的なメンテナンスも億劫になってしまいますので、誰でも簡単に、というのは大切な要素です。

[用意するもの]

  • せっけん(無添加せっけん)
  • お湯
  • カッター
  • 食器洗い用スポンジ
  • 紙やすり(#400番程度)

固形せっけんは、「無添加せっけん」としてください。無添加せっけんでないと、せっけん成分の他に、漂白剤や着色料などが含まれています。木材表面を漂白(または着色)してしまわないよう、無添加せっけんを用意してください。

固形せっけんをカッターで削ります。えんぴつを削る要領で。お湯1Lに対して、大さじ3~5杯程度のせっけん削り節が必要です。せっけん量は目安ですので、濃いめにしたい場合は多めに入れても問題ありません。

お湯にせっけん削り節を入れ、良く混ぜて溶かします。せっけん削り節が溶け、泡が立ち始めたらソープ塗料が完成です。お湯の温度は高めの方が泡立ちが良くなります。泡立ちが良い方が仕上がりが良くなります。やけどしない程度に熱めのお湯を用意してください。

食器洗い用スポンジのスポンジ面(ざらざらの研磨面ではありません)にせっけん水をよく染み込ませ泡立て、無垢材の表面を軽く撫でていきます。木の表面に泡を擦りつけるような感じで、隅々まで塗り残しの無いように。せっけん水で濡れた部分は、色目が濃く、杢目がくっきりと出ますが、乾けば元の木の表情に戻るので、気にせずに手早く作業を行いましょう。

スポンジで全体に塗ったら、塗りむらがないように布で表面を軽く拭き取ります。風通しの良い日影において、おおよそ30分程度、表面を乾かします。乾燥すると木の表面が少し毛羽立つので、#400番の紙やすりで軽くやすり掛けしたら、完成です。強くやすりを掛けると、せっかく表面に出来たせっけん被膜まで削り取ってしまうので、あくまで表面を整える程度に軽くかけるのがポイントです。


上の写真が仕上げ前のトチ(栃)カウンター、下の写真がソープフィニッシュ仕上げ後の栃カウンター。ソープフィニッシュ仕上げ前後を比べてみると、ほとんど色目に変化はありません。写真をよく見比べれば、仕上げ後の方がやや木目がはっきりと出たような感じがしますが、ぱっと見ではどちらが仕上げをしたのか分からないほど木肌に変化はありません。

さらっとした木の自然な風合いを楽しみたい、木肌の素材感をそのまま活かしたい、そんな時には、ソープフィニッシュ仕上げがおススメです。