軒先長さと窓高さのバランスについて

「上越滝寺の店舗併用住宅」こちらの住宅は、南側に面して大開口を設ける構成を採用しています。室内を明るく、開放的にしようと安易に大きな窓を設けてしまうと、夏場に日差しが差し込み、(見た目は良いが)暑くて快適に過ごせない空間となってしまいます。そこで、こちらの住宅では窓の上部に大きく軒を張り出し、夏の日差しを遮るような作りとしています。

軒の長さと窓の高さのバランスによって、どの季節に陽差しを遮るかが決まってきます。今回、軒長さ:窓高さ=1:1.3という比に設定しています。1:1.3を角度に換算すると、約52度。太陽高度が52度を超えれば陽差しを遮り、52度を下回れば、陽差しが差し込んできます。上越という場所で算定してみると、
5月中旬から7月中旬:午前9時頃から14時30分くらいまで、
7月中旬から9月中旬:午前10時30分頃から13時くらいまで、
と、およそ夏の暑い時期の昼にかけての時間帯、陽を完全に遮ることができると分かります。
これはかなり有効な数字で、夏場には有利に働くと予想されます。

ちなみに、10月中旬から3月中旬までは一日を通して室内に陽が差し込み、室内を暖める効果が期待できます。冬場の太陽高度は約30度と低く、もし晴れれば室内へ多くの陽が差し込むのですが、雪の日が多い上越では、冬季の日射熱効果はあまり期待しない方が良いかもしれません。という事で、南側の開口部のガラスといえども、日射取得型ではなく、日射遮蔽型を採用していく方が良いかと。近年、温暖化が急速に進んでいるようで、ここ上越でも雪が少なくなってきています。温熱環境を判断する上でも、冬季よりも、夏季を基準に検討していった方が今後は良いのかもしれません。

軒先長さ