杉丸太を製材して太鼓梁を作る

「岩室の平屋」昨日、購入した曲がり杉丸太。製材加工したとの連絡を受け、さっそく現物確認してきました。上の写真は、丸太の断面部分に青いチョークで加工指示の線を書き込んでいる様子。どう加工をするか検討することを、木取り(きどり)と呼びます。ここでは丸太の両側を落とし、太鼓状の梁に加工するように指示を書き込んでいます。

丸太の断面を見ながら話した際、製材所の職人さんには、年輪の中央付近に玉割れ(たまわれ:中心付近の年輪に沿った丸いひび割れ)があるので、製材してみたらひびが入っているかもしれないと脅されていたのですが、製材後の状況をみる限り、ひび割れは大きくなく、問題ない範囲ということで、ほっとひと安心。

杉丸太製材

左手の材が棟梁(むねはり)。右手の材はもう一本の表しになる梁材。材の近くにいるだけで、杉の良い香りが漂ってきます。右手の曲がり丸太かた挽いた梁と左手の真っすぐな丸太から引いた梁では、まったく木目の表情が異なることが分かります。製材後の切断面をみると、左手の曲がり丸太から挽いた棟梁の方は、杢目がくねくねと面白い表情で表れています。曲がり丸太の方は、年輪の数を数えてみると、ざっと100本以上、つまり、100年以上の樹齢の杉の大木ということが分かります。長い年月を生きてきた樹木だけに、通常の角材とは違い、木自体に存在感があります。

昔であれば、丸太から製材し、柱梁を作るのが通常だったかもしれませんが、時間や手間が掛かる事から、現在ではほとんどそのような事は行われていません。丸太から選ぶことは今となっては、とても贅沢な試みなのかもしれません。

一般流通材ですと、癖のない、無個性な表情の材しか手に入らないのですが、(その均一性が製品保証の点からも利点なのですが)もし面白い表情の材をお探しであれば、個性的な丸太を探して製材してもらうという選択肢もありかもしれません。その分、時間も、手間も(つまり、予算は)かかりますが、掛けた以上のモノが得られる可能性があります。

製材した梁は、一部に虫の入った跡が見られたため、念には念を入れ、この後、ボイラー乾燥を行うことにしました。約10日間、ボイラー釜にいれて強制的に乾燥を掛けます。ボイラー乾燥をかけることで、木の中に入っている虫を燻し出すそうです。といっても、ボイラーだけでは虫を完全に駆除することは難しいらしいのですが。ボイラーから出てきたら次は、いよいよ仕上げ加工へと進んでいきます。丸太→製材→ボイラー乾燥→加工と、梁材になるまでにいくつもの工程が必要になります。