玄関アプローチの設け方

玄関アプローチ

岩室の家」は、道路から少し奥まった部分に玄関を設けています。玄関へは格子戸をカラカラと開け、通り抜け庭を通ってアプローチします。玄関前の通り抜けの庭には、シンボルツリーとしてモミジの木、下草には龍の髭やアオキ、少しづつずらしながら配置した踏み石と苔が配置されています。幅2m×奥行き4m程度のほんの小さなスペースでしかないのですが、この空間を設けたことで、ゆとりを感じる玄関スペースとなっています。

少しの引きを設けることで、建物の格がぐんと上がります。玄関を開けたら、いきなり道路ではなく、可能なら道路から引きを設け、少し歩ける程度のスペースを確保したいものです。(お子さんがいるお宅などは、急に子供が玄関から飛び出したり、という危険性もありますし。)

狭い敷地で、なかなか余裕がないという事もあるかもしれませんが、植栽を植えて道路から直接玄関が覗けないようにする、外塀や格子戸を設ける、道路から少し回り込んでアプローチするなど、工夫次第で対応が可能なケースもあるはずです。簡単にあきらめず、少しアイディアを練ってみてはいかがでしょうか。

玄関アプローチ

竣工当初は、殺風景だった「岩室の家」の玄関アプローチには、今では敷石が敷かれ、下草や苔が定着し、しっとりとした落ち着いた空間になっています。まるでちょっとした料亭の玄関のような佇まいです。建築というものは、建物だけでは成立せず、庭や樹々などの周辺環境が存在してこそ、引き立つものなのだと改めて感じさせてくれます。

予算的に建物本体の工事分だけで精一杯、という方もいるでしょうが、できれば外構工事や植栽工事に余裕を持って予算を組んでいただいた方が、掛けた金額以上に建物が引き立つのは間違いありません。場合によっては庭の植栽や外構工事は、自分たちで少しづつ整備するなど、お金でなく時間を掛ければできることもあります。

玄関アプローチ

実はこちらの「岩室の家」の通り抜け庭は、ネットやオークションなどで木々を少しづつ購入し、お住まいの方が自ら樹を植え、手を加えて作った庭です。植栽のプロでなくとも、センスと時間さえあれば、実現できるはずです。

建物と違い、庭は一気に作るのではなく、樹々の配置バランスを見ながら、少しづつ時間を掛けて(場合によっては数年掛けて)、植え足していくのが良いかもしれません。まずは何本かメインになる木を植え、しばらく期間をおいて、その木々が生い茂るのを見てから、隣に更に木を追加して植えた方が良いのか、それとも下草だけ植えればよいのか、状況を見ながら付け足していく、という風に。本来、庭という自然は、一朝一夕で作るものではありませんので。

玄関アプローチ