障子戸に落ちる樹々の影

障子の影

「新潟浦山のコートハウス」こちらの住宅の中庭に面したガラス窓には全て引き込み障子戸を取りつけてあります。この障子戸は、光を遮り、視線を遮り、外気温を遮るなど、様々な効果を期待して設けています。

障子戸を閉めれば、夏の日差しが強い時には光を柔らかく拡散し、夜には隣からの視線を遮り、冬の寒い季節には2重サッシのように断熱効果を上げることができます。昔から使われてきた障子戸ですが、改めて見直せば現代の生活にも十分通用する効果が期待できると思っています。

障子を透過した柔らかな光は、室内をやさしく照らし、落ち着いた雰囲気を作りだしてくれます。障子戸といえば、和の雰囲気の代表ですが、桟をシャープにしたり、割付を繊細にすることで、和風に寄りすぎることのない、モダンな空間にまとめることが出来ます。

障子の張替えが面倒という方には

障子戸と猫

私の事務所では、障子の張り替えが面倒、破れたらみすぼらしい、という方には塩化ビニル製のホームワーロンという強化障子紙をオススメしています。障子紙ではなく、塩ビ製ですので、かなりの強度があります。(貼り付けには、のりでなく、専用の両面テープで貼り付けます。)私は以前、転んだ拍子に、このワーロン紙を破ったことがあるのですが、その時には、手の指を突き指しました。それくらいの強度があるので、ちょっとやそっとでは破れません。

写真の新潟浦山のコートハウスでは猫を飼っていますので、通常の障子紙では直ぐに爪で穴を空けられてしまいます。そこで障子紙の代わりに、こちらの強化障子紙を採用してみました。猫の爪は鋭いので、もしかして。。。と少し心配していましたが、今のところ猫たちに破られることなく、障子戸は無事にその姿を保っています。見た目も、ぱっとみただけでは、それが塩化ビニル製だと分かる人は少ないほど、自然な質感でできあがっています。

障子戸の効果

障子に落ちる木の影

障子の利点として様々な効果があるのですが、私はその中でも一番素晴らしいと思うのは、樹々の影が映ることだと思います。風が吹けば樹々の影が揺れ、太陽に雲が掛かれば影が薄くなり、時には木にとまる鳥の影を見ることが出来たり、ずっと見ていても飽きません。

障子戸を開けているよりも閉めていた方が、外の環境変化を敏感に感じることができるなんて、人間の感覚というものは本当に面白いと思います。障子戸は古臭いなんて言わず、暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。