白井晟一設計「善照寺本堂」を訪れて

人で賑わう合羽橋商店街のすぐ裏手。白井晟一設計による切妻屋根の本堂がひっそり静かに建っています。今まで合羽橋商店街はよく通っていましたが、まさかその通りの裏に建っていたとは思いもよりませんでした。表通りから細いアプローチを通り抜け、ちょっと奥まった境内へ。境内に近づくにつれ、空気の質が変わっていくよう。装飾を抑えた端正なプロポーションの本堂が正面で迎え入れてくれます。

訪れたのはしとしとと雨降る日。長く延ばした庇の先端から砂利の上に落ちた雨が、ぽつりぽりつと雨音を響かせています。本堂は地面から1m程浮き上がっており、本堂の廻りにはテラス床が跳ね出し、回廊状に建物を取り囲んでいます。この跳ね出した回廊の床の厚さはとても薄く、まるで建物が浮遊しているかのように見えます。

石階段を登り回廊へ上ると、地面から1m程しか上がっていないのに、街の喧噪が遠のき、世俗から切り離されたような気分になります。このレベル差が結界の役割しているのでしょう。ごろっとした存在感のある石の階段や浮遊する回廊床が結界を作り出す重要な装置として働いているのでしょう。

本堂内部を覗くと、障子を通した柔らかな明かりに包まれ、静謐な空間が広がっています。庇の延びた左右対称の切妻屋根という昔ながらのお堂の典型的なカタチが、私たちにお寺というイメージを呼び起こすのか、斬新な表現のわりに誰にでもすんなりと受け入れられる姿になっているように感じました。静かに雨が降っているそんな日に訪れるのが良いかもしれません。1958年竣工。

善照寺本堂
住所:東京都台東区西浅草1丁目4−15
拝観について:一般公開はしていません。拝観の際には隣接する社務所にお声かけください。
電話:03-3844-4006

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