「東三条まもる眼科」診療所の設計にあたって考えたこと

先日、東三条まもる眼科の設計コンセプトに関してインタビューを受けました。
設計意図を皆さんに知ってもらう為、インタビュアーとのやり取りをここに掲載します。
どのような経緯で何を考えて設計を進めたのかが、分かると思います。

インタビュアー
「一般的に医療機関というと眩しいくらいの白、というイメージが強いですが「東三条まもる眼科」では、あまり真っ白が見られません。白以外の色をなぜ今回、取り入れたのですか?」
設計者 金子
「旧来の医療施設の仕上げが白いというのは、清潔で公正なイメージを色で表現したかったからだと思います。しかし近年、その白さが逆に取りつきにくく「人を拒む」ようなイメージへと転化してしまったように思います。今の医療、とくに地域医療においては、患者さんに寄り添い、地域とともに歩んでいく施設であることが必要とされていると思います。その様な施設では、当然、真っ白で清潔である空間よりも、アットホームで居心地のよい空間が求められるでしょう。真っ白で無機質な空間では、だたでさえ不安を抱えている患者さんが緊張してしまいますよね。家のリビングのような心地よく落ち着いた空間で、リラックスして診療を受けてほしいそのような医院長の願いから、あのような空間が生まれたのです。最上の医療というものは、直接的な治療をしなくとも、(つまり、むやみにメスで切ったり、薬を投与したりするのではなく)患者さんの話を聞き、気持ちをリラックスしてもらうだけで、病を直すことだと思います。そのような間接的な医療への関わりにおいて、設計者には大事な役割があるのだと思います。
また、今回アフォーダンスという概念を試みています。各室(つまり、ボックス)の壁仕上げは全て異なっています。仕上げられた素材によって、その部屋がどのような機能を持つ部屋か、特別な標識がなくとも分かるようにしました。例えば、暗室は黒いざっくりとした仕上げ、手術室は硬質で清潔感を感じさせるタイル貼り、コンタクトコーナーは水をイメージさせるような瑞々しい色のタイル貼り、診察室は柔らかで落ち着きを感じる木目調、というように。また、床の色も、受付から診察室に至るまで、次第に色が変わっていくように意図して選んでいます。奥へ奥へと進んでいることが、暗示的に患者さんに伝わるよう、デザインしています。」

インタビュアー
「医院内のどこからでも緑が眺められるようにしたとお聞きしました。積極的に自然が取り込んでいるのは、なぜでしょうか?」
設計者 金子
「古来より目には緑が良いといわれてきました。ロビーで診療を待つ患者さんには、樹々の緑を見ながら少しでもリラックスしてほしいとの思いからです。患者さんは、ただでさえ不安な気持ちで医院を訪れているわけですから。」

インタビュアー
「木造に落ち着いた経緯はあるのでしょうか?」
設計者 金子
「まずは、建設コストを抑えたいということがありました。それ以上に、昔ながらの木造軸組の建物であるということが、その街並のスケールに馴染み、地域に密着した医療を目指すという医院のテーマに合致するのではないかと考えたためです。コンクリート造や鉄骨造では、ちょっと寒々しいイメージがありますから。」

インタビュアー
「建物の平面構成が面白いなと感じたのですが、どのようにして平面プランを決めていったのでしょうか?」
設計者 金子
「今回の平面は、目に障害を持つ患者さん(つまり視覚弱者)にも分かり易い平面をつくろうと意図して生まれた空間構成です。建物の中央に診察室を置き、その廻りをぐるりと一周すると、受付→検査→診察→会計が終わるという回遊式の動線となっています。こうすることで、患者さんの動線が交錯せず、スムーズに診察を受けられるのでないかと。私自身、他の病院で診察の流れが把握できず、どの診察室に入ってよいか、迷ってしまうことが多かったので(笑)。だれにも説明されなくとも、自然と分かる空間の流れを作りたかったのです。」

眼科アフォーダンス

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